古典の名句『秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる』では、最後の「おどろかれぬる」の「れ」が気になる方も多いでしょう。現代語訳では「自然とはっと気づかされる」とされますが、この「れ」は受身ではなく自発の意味で使われています。
自発・可能・受身の区別
古文の助動詞「る」「らる」は、文脈により受身・尊敬・自発・可能のいずれかの意味を持ちます。受身は主語が行為を受ける場合、自発は主語が自然にそうなる、または心が動く場合に使われます。
「おどろかれぬる」の文法分析
「おどろく(驚く)」に「れ」がつき、「おどろかれぬる」となっています。主語は「私(作者)」で、風の音によって自然に驚く心情を表現しています。ここでの「れ」は、自らの意志ではなく自然に心が動くことを示す自発です。
受身ではない理由
受身だと「誰かに驚かされる」という意味になりますが、この句では具体的な他者が驚かせるわけではなく、風の音による自然な心の動きを描写しています。そのため、文法的には自発として解釈されます。
まとめ
『秋来ぬと』の「おどろかれぬる」の「れ」は自発を表す助動詞で、自然に心が驚く様子を描写しています。受身とは異なり、外的主体が主語に作用しているわけではなく、心情の自然な動きを表す古文特有の表現です。


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