接地線(アース)のサイズ選定の考え方|EACD・EB・ELCBと構造体接地の正しい判断基準

工学

電気設備における接地線(アース)のサイズ選定は、安全性を確保するうえで非常に重要なポイントです。しかし現場では「設計図に明記がない」「設計者から判断を任された」といったケースも少なくありません。本記事では、EACD・EB・ELCBなどの接地種別の考え方から、構造体利用接地を含めたサイズ選定の基本原則まで、実務目線でわかりやすく解説します。

接地線サイズは何で決まるのか

接地線のサイズは、単純に「一番太いものに合わせる」というものではなく、接地の目的・流れる可能性のある電流・保護装置との関係によって決まります。

基本的には、地絡時に安全に電流を流せる断面積が必要となり、電線サイズは以下の要素から決定されます。

  • 接地の種別(A種・B種など)
  • 接続される機器の容量
  • 遮断器の定格電流
  • 想定される地絡電流

つまり、単純に太ければ良いのではなく、適切な根拠に基づいた選定が必要です。

EACD・EB・ELCBの違いと役割

質問にあるEACD・EB・ELCBは、それぞれ異なる役割を持っています。

名称 役割
EACD 高圧設備の接地(主にA種接地)
EB 低圧機器の保護接地(B種・D種など)
ELCB 漏電遮断器用の接地

この中でEBが150sqと最も大きいのは、流れる可能性のある電流が比較的大きいためです。一方でELCBやEACDは、それぞれの用途に応じたサイズとなっています。

したがって、すべてを最大サイズに統一するのは設計思想として正しいとは限りません

構造体利用接地の考え方

構造体利用接地とは、建物の鉄骨や鉄筋コンクリートを接地極として利用する方法です。これは補助的・冗長的な接地として用いられることが多く、主接地とは役割が異なります。

この場合の接地線サイズは、以下の観点で判断されます。

  • 主接地が断線した場合のバックアップとして機能するか
  • 構造体自体の導通性能
  • 接続点の信頼性

実務では、主接地と同等の性能を確保する必要がある場合は同等サイズ、補助的用途であればそれに応じたサイズとするのが一般的です。

「150sqにすれば安全」は正しいのか

現場でよくある判断として「一番太い150sqに合わせれば安心」という考え方がありますが、これは半分正しく半分誤りです。

確かに安全側ではありますが、以下の問題があります。

  • 過剰設計によるコスト増
  • 施工性の悪化(曲げにくい・端子が大きい)
  • 設計意図との不整合

例えば、ELCB用接地に150sqを使用すると、実際に必要な電流容量に対して過剰になるケースが多く、合理的とは言えません。

したがって、「最大に合わせる」ではなく「役割に応じて決める」ことが重要です。

実務での判断フロー(迷ったときの考え方)

設計者の指示が曖昧な場合、以下の手順で判断すると整理しやすくなります。

  1. 接地の用途(主・補助)を確認する
  2. 接続される機器の容量を確認する
  3. 既存の接地系統とのバランスを見る
  4. 内線規程や電技解釈を参照する

特に重要なのは、バックアップ接地であっても主接地と同等の安全性が求められるかどうかです。

もし「主接地が使えなくなった際に完全代替する」なら、同等サイズ(今回で言えば150sq)を採用する判断は合理的です。

まとめ

接地線のサイズは単純に「一番太いものに合わせる」だけでは決められず、接地の役割や流れる電流、設備全体の設計思想によって決定されます。

構造体利用接地については、主接地の代替として使うかどうかが大きな判断ポイントになります。完全なバックアップであれば同等サイズ、補助的であれば用途に応じたサイズ選定が必要です。

最終的には、内線規程や設計基準に基づいた判断が求められるため、不明点がある場合は必ず設計条件を再確認することが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました