NPSHaとは?ポンプの吸入圧とその計算方法について解説

工学

NPSHa(Net Positive Suction Head Available)は、ポンプが正常に動作するために必要な吸入圧力の指標であり、ポンプの性能や寿命に大きな影響を与えます。特に、ポンプの吸入圧を増設する際に、NPSHaがどのように関与するのかを理解することが重要です。本記事では、NPSHaの概念や計算方法、そしてポンプの吸入圧とNPSHaの関係について解説します。

NPSHaとは?その重要性と定義

NPSHaは、ポンプの吸入側で利用可能な圧力を示し、キャビテーション(気泡の発生)を防ぐために必要な最小圧力です。具体的には、吸入圧が液体の蒸気圧よりも十分に高いことを保証し、ポンプ内部で液体が気化することを防ぎます。NPSHaが低すぎると、ポンプはキャビテーションを起こし、効率が低下し、機器に損傷を与える可能性があります。

したがって、ポンプを選定する際には、NPSHaとポンプのNPSHr(Net Positive Suction Head Required)の比較が重要です。NPSHaがNPSHrよりも大きい場合、ポンプは正常に動作し、キャビテーションのリスクを回避できます。

NPSHaの計算方法

NPSHaは、以下の式で計算されます。

NPSHa = P吸入 / (ρg) + Z吸入 – Hv

ここで、
P吸入:吸入圧力(Pa)
ρ:液体の密度(kg/m³)
g:重力加速度(m/s²)
Z吸入:吸入タンクの高さ(m)
Hv:液体の蒸気圧(m)

この計算式により、吸入側の圧力と液体の特性に基づいて、ポンプが十分な吸引圧を持っているかを評価できます。

ポンプ吸入圧の担保とNPSHaの関係

質問者のケースでは、「圧力200kPaGのラインに加圧ポンプを増設する予定」とのことですが、ポンプの吸入圧が200kPaG(ゲージ圧)であれば、その圧力が液体の蒸気圧よりも高いことが保証されていれば、NPSHaはその圧力に基づいて計算できます。

ポンプの吸入圧が担保されている状態で、NPSHaが20mであるという認識が合っているかどうかを判断するには、まず液体の蒸気圧(Hv)や吸入タンクの高さ(Z吸入)、液体の密度など、計算に必要な全ての要素を確認する必要があります。実際には、NPSHaが20mであることは理論的に可能ですが、周囲の条件(液体の種類、温度、吸入高さなど)によって異なる場合があります。

圧力200kPaGでの吸入圧の担保

圧力200kPaGは、約2バールに相当します。これは一般的にポンプ吸入側として十分な圧力を確保していると考えられますが、液体の種類や温度によっては、この圧力でNPSHaが十分かどうかを再確認する必要があります。

例えば、温度が高い場合、液体の蒸気圧が高くなるため、同じ吸入圧でもNPSHaが低くなる可能性があります。逆に、温度が低ければ、より高いNPSHaを確保できる場合もあります。このため、ポンプ選定時には、これらの詳細な条件を確認することが重要です。

まとめ:NPSHaの理解と計算のポイント

NPSHaは、ポンプの性能を維持し、キャビテーションを防ぐために不可欠な要素です。ポンプの吸入圧が200kPaGで担保されている場合、NPSHaが20mであるという認識は理論的には正しいかもしれませんが、液体の特性や周囲の条件によって変動する可能性があります。ポンプの運転条件に基づいて、NPSHaが十分であることを確認するための詳細な計算と確認が必要です。

正しいNPSHaを確保することで、ポンプの効率を最大限に引き出し、長期的な運用においても安定したパフォーマンスを実現できます。

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