y=log(x+√(x²+1))の逆関数の微分では、途中で登場する有理化の操作が難しく感じる人が多くいます。特に、e^x=y+√(y²+1)から突然e^(-x)=√(y²+1)-yを導く部分は、計算方法だけを見ると偶然のひらめきのように見えてしまいます。
しかし、この変形には「平方根を消したい」「分母に同じ形があるなら共役な式を掛ける」という明確な考え方があります。この記事では、この計算の流れだけでなく、なぜその発想になるのかを順番に解説します。
逆関数の微分や双曲線関数につながる考え方として理解すると、似た形の問題にも応用できるようになります。
まず逆関数の微分の基本を確認する
与えられた関数はy=log(x+√(x²+1))です。この関数の逆関数を求めるためには、xとyを入れ替えて考えます。
逆関数の微分では、元の関数の微分を利用して、(dy/dx)を求めることができます。つまり、yをxの関数として直接微分するのではなく、xをyの関数として表してから考える方法が有効です。
まず両辺を指数化すると、e^y=x+√(x²+1)となります。逆関数を考えるために変数を整理すると、e^x=y+√(y²+1)という形が得られます。
e^(-x)を作る理由は平方根を消すため
ここで多くの人が疑問に感じるのが、「なぜ突然e^(-x)を考えるのか」という部分です。
ポイントは、e^x=y+√(y²+1)という式には、平方根を含む項があることです。この形の平方根を消すには、共役な式である√(y²+1)-yを利用するとよいと考えます。
これは有理化と同じ発想です。例えば、分母にa+bがある場合、a-bを掛けることで(a+b)(a-b)=a²-b²という形を作り、複雑な部分を消すことがあります。
有理化によって√(y²+1)-yが現れる仕組み
e^x=y+√(y²+1)なので、その逆数を考えます。
1/e^x=e^(-x)となるため、
e^(-x)=1/{y+√(y²+1)}
となります。ここで分母を有理化するため、共役な式√(y²+1)-yを掛けます。
すると、
1/{y+√(y²+1)}×{√(y²+1)-y}/{√(y²+1)-y}
となり、分母は
(y+√(y²+1))(√(y²+1)-y)
になります。
これは差の積の公式を使うと、
(√(y²+1))²-y²=y²+1-y²=1
となります。そのため分母が1になり、結果として
e^(-x)=√(y²+1)-y
が得られます。
e^xとe^(-x)を足すことで微分が求まる理由
ここまでで、
e^x=y+√(y²+1)
e^(-x)=√(y²+1)-y
という2つの式が得られました。
この2式を足すと、
e^x+e^(-x)=2√(y²+1)
になります。
したがって、
√(y²+1)={e^x+e^(-x)}/2
となります。
逆関数の微分ではdy/dx=√(y²+1)なので、最終的に
dy/dx={e^x+e^(-x)}/2
が得られます。
この発想を思いつくためのポイント
この問題で重要なのは、単純にe^(-x)を思いつくことではありません。まず「平方根を含む式をどう処理するか」という視点を持つことです。
y+√(y²+1)という形を見たとき、共役な√(y²+1)-yを掛ければ、平方根の2乗とy²が打ち消し合って1になることに気づくのがポイントです。
また、e^xの逆数はe^(-x)になるため、有理化によって出てきた式を指数の形として利用できます。
似た例として、1/(3+√10)のような式でも、3-√10を掛けることで簡単になります。このように「分母の形を見て、符号を反転させた共役式を考える」という習慣が有効です。
双曲線関数との関係
実は、今回出てきた(e^x+e^(-x))/2という形は、双曲線関数のcosh xと同じ形です。
つまり、この関数は逆双曲線関数であるarsinh xとも関係しており、数学的には非常に自然な形になっています。
ただし、高校数学や微分の問題として解く場合は、双曲線関数を知らなくても、有理化と指数法則の理解だけで十分に解くことができます。
まとめ
y=log(x+√(x²+1))の逆関数の微分で登場するe^(-x)の変形は、偶然のテクニックではありません。
e^x=y+√(y²+1)という形から、平方根を消すために共役な式√(y²+1)-yを使うという有理化の考え方が出発点になります。
「平方根を含む和の形を見たら共役な差を考える」という習慣を身につけると、この問題だけでなく多くの数学の変形に応用できます。


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