英語の長文読解では、日本語に訳す際に「なぜその言葉が補われているのか」と疑問に感じる表現があります。特に比較表現が含まれる英文では、原文には明示されていない内容を日本語訳で補う場合があります。
今回の英文「Per person, Japanese people eat a far greater quantity of seafood than do Americans, and this is thought to contribute significantly to their average life expectancy.」もその一例です。なぜ「日本人の平均寿命を長くすることに」ではなく「アメリカ人より長い平均寿命に」と訳されるのか、英文の構造から詳しく解説します。
英文全体の意味を確認する
まず英文を2つの部分に分けて考えると理解しやすくなります。
「Japanese people eat a far greater quantity of seafood than do Americans」は、「日本人はアメリカ人よりもはるかに多くの魚介類を一人当たりで食べる」という意味です。
ここで「than do Americans」は比較を表しており、「アメリカ人が食べる量と比べて」という基準がすでに文の中に存在しています。
続く「this is thought to contribute significantly to their average life expectancy」は、「このことが彼らの平均寿命に大きく貢献していると考えられている」という意味になります。
なぜ「アメリカ人より長い平均寿命」と訳されるのか
ポイントは、前半部分で日本人とアメリカ人を比較していることです。英文では「日本人の魚介類摂取量」と「アメリカ人の魚介類摂取量」を比べ、その違いが平均寿命にも関係しているという流れになっています。
つまり、筆者が伝えたい内容は単純に「魚を食べると日本人の寿命が延びる」ということだけではありません。「日本人はアメリカ人より魚を多く食べ、その食習慣が日本人の長い平均寿命の理由の一つになっている」という比較の話です。
そのため、日本語訳では文脈を考慮して「アメリカ人より長い平均寿命に貢献している」と表現されています。
「日本人の平均寿命をより長くすることに」では間違いなのか
「日本人の平均寿命をより長くすることに貢献している」という訳も、文法的には大きく間違っているわけではありません。
「contribute to ~」は「~に貢献する」という意味なので、「日本人の平均寿命を長くすることに貢献する」と訳すことは可能です。
ただし、この訳では英文にある比較のニュアンスが弱くなります。原文では「アメリカ人より魚介類を多く食べる」という情報が重要なので、その比較対象を日本語にも反映させた方が文章全体の意味が伝わりやすくなります。
英語では比較対象が後の文にも影響する
英語では、前の文で示された比較対象や基準が、後の内容にも引き継がれることがあります。
例えば、「A is taller than B, and this helps A become more successful.」という文では、「this」が単なる身長の高さではなく、「Bと比べてAが高い」という状況全体を指しています。
今回の英文でも、「日本人とアメリカ人の食生活の違い」という比較関係が後半部分まで続いていると考えると理解しやすくなります。
直訳と自然な意訳の違い
英語を日本語に訳す場合、単語をそのまま置き換えるだけでは自然な文章にならないことがあります。特に長文読解では、筆者が何と何を比較しているのかを考えることが重要です。
直訳に近づけるなら「このことは彼らの平均寿命に大きく貢献していると考えられている」となります。しかし、「彼ら」が誰を指すのか、どのような関係なのかを明確にするために、比較対象を補った訳が採用されています。
翻訳では、原文にない情報を勝手に追加するのではなく、文脈から読み取れる内容を日本語として分かりやすく表現することがあります。
まとめ
「アメリカ人より長い平均寿命に」という訳になる理由は、英文の前半ですでに日本人とアメリカ人の比較が行われているためです。
「日本人の平均寿命をより長くすることに」と訳しても大きな意味の間違いではありませんが、原文が持つ「アメリカ人との比較」という重要なニュアンスが薄れてしまいます。
英語長文では、単語だけを見るのではなく、文全体の比較関係や筆者が何を基準に説明しているのかを意識すると、より正確に意味を読み取れるようになります。


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