「おはすべき所は、行平の中納言の…」の品詞分解と現代語訳|古文読解のポイントを解説

文学、古典

古文の文章では、単語ごとの意味だけでなく、助動詞の働きや敬語表現、文脈を理解することが重要です。今回は「おはすべき所は、行平の中納言の、藻塩たれつつわびける家居近きわたりなりけり」から続く文章について、品詞分解と現代語訳を通して読解のポイントを解説します。

本文の意味と全体の内容

この文章は、ある場所について説明している場面です。主人公が訪れようとしている場所は、行平の中納言がかつて住み、海辺で藻塩を作りながらわびしく暮らしていた家の近くでした。

海岸から少し奥に入った山中にあり、趣深く寂しい雰囲気を持つ場所として描かれています。粗末な家や葦で屋根をふいた廊のような建物なども、風情のあるように整えられていました。

「おはすべき所は、行平の中納言の、藻塩たれつつわびける家居近きわたりなりけり」の品詞分解

語句 品詞・文法 意味
おはす 動詞「おはす」サ行変格活用 いらっしゃる、ある(尊敬語)
べき 助動詞「べし」連体形 ~する予定の、~するはずの
名詞 場所
係助詞 主題を示す
行平 名詞 在原行平を指す
格助詞 連体修飾を示す
中納言 名詞 官職名
藻塩 名詞 海藻から作る塩
たれ 動詞「垂る」連用形 垂れる、流れる
つつ 接続助詞 ~ながら、~続けて
わびける 動詞「わぶ」連用形+助動詞「けり」連体形 寂しく暮らしていた
家居 名詞 住居、家
近き 形容詞「近し」連体形 近い
わたり 名詞 あたり、周辺
なり 助動詞「なり」終止形 ~である
けり 助動詞「けり」終止形 ~だった、~であった

「藻塩たれつつわびける」は、行平の中納言が海辺で藻塩を作りながら、寂しい思いで暮らしていたことを表しています。「つつ」は同じ動作が継続していることを表す重要な表現です。

「海づらはやや入りて、あはれにすごげなる山中なり」の品詞分解

語句 品詞・文法 意味
海づら 名詞 海辺、海岸
係助詞 主題を示す
やや 副詞 少し、いくらか
入り 動詞「入る」連用形 奥へ入る
接続助詞 ~て
あはれに 形容動詞「あはれなり」連用形 しみじみと趣深く
すごげなる 形容動詞「すごげなり」連体形 寂しい感じがする
山中 名詞 山の中
なり 助動詞「なり」終止形 ~である

「あはれに」は単なる悲しさではなく、古文特有の「趣深い」「心を動かされる」という意味があります。「すごげ」は人の気配が少なく、寂しい様子を表現しています。

「垣のさまよりはじめて、めづらかに見たまふ」の品詞分解

語句 品詞・文法 意味
名詞 垣根
格助詞 ~の
さま 名詞 様子
より 格助詞 ~から
はじめて 副詞 最初から
めづらかに 形容動詞「めづらかなり」連用形 珍しく、すばらしく
動詞「見る」連用形 見る
たまふ 補助動詞 ~なさる(尊敬)

「見たまふ」は「見る」に尊敬の補助動詞「たまふ」がついた形で、「ご覧になる」という意味になります。文章の主語が身分の高い人物であることが分かります。

「茅屋ども、葦ふける廊めく屋など、をかしうしつらひなしたり」の品詞分解

語句 品詞・文法 意味
茅屋 名詞 かやぶきの粗末な家
ども 接尾語 複数を表す
葦ふける 動詞「葺く」已然形+助動詞「り」連体形 葦で屋根をふいた
廊めく 接尾語「めく」 廊のような
名詞 建物
をかしう 形容詞「をかし」連用形 趣深く、美しく
しつらひ 動詞「しつらふ」連用形 整える
なしたり 動詞「なす」連用形+助動詞「たり」 作り整えている

「をかしうしつらひなしたり」は、粗末な建物ではあるものの、風情があるように工夫して整えられている様子を表しています。

全文の現代語訳

おいでになるはずの場所は、行平の中納言が、藻塩を作りながら寂しく暮らしていた住居の近くのあたりであった。海岸から少し奥へ入った、趣深く寂しい感じのする山の中である。

垣根の様子をはじめとして、珍しく感じられるほどすばらしくご覧になる。茅葺きの粗末な家々や、葦で屋根をふいた廊のような建物などを、趣のあるように整えて作っていた。

まとめ|古文読解では単語だけでなく情景を理解することが大切

この文章では、単なる場所の説明ではなく、行平の暮らした寂しい海辺の風情や、その場所を訪れた人物が感じた趣が描かれています。

品詞分解をすると、助動詞や敬語の働きが分かり、現代語訳だけでは見えにくい文章の背景まで理解できます。古文では一つ一つの単語の役割を確認しながら、全体の情景を想像することが重要です。

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