古文では「せしめ給ふ」のように、助動詞が重なった表現が登場することがあります。その場合、「しめ」が使役なのか尊敬なのか判断に迷いやすく、誰が誰に何をしたのか分かりにくくなることがあります。
この記事では、「一院第二の王子、ひそかに入寺せしめ給ふ。」という文章について、現代語訳、登場人物の関係、「しめ」の意味の判断方法を分かりやすく解説します。
「一院第二の王子、ひそかに入寺せしめ給ふ」の現代語訳
この文章は、現代語にすると「一院の第二皇子が、ひそかに出家して寺にお入りになる」という意味になります。
ここで重要なのは、「入寺せしめ給ふ」の主語が誰なのかという点です。この文では「第二の王子」が行動の主体であり、「給ふ」はその人物への敬意を表しています。
つまり、意味としては「一院が第二の王子を寺に入れた」という使役ではなく、「一院の第二の王子が自ら入寺なさった」という尊敬表現になります。
登場人物の関係を整理する
まず「一院」とは、天皇を退位した後の上皇を指します。「院」は古文では上皇や法皇を表すことが多く、「一院」は特定の上皇を敬って呼んだ表現です。
「第二の王子」は、一院の第二皇子という意味です。つまり、この文章に出てくる人物関係は以下のようになります。
| 人物 | 関係 |
|---|---|
| 一院 | 上皇。第二王子の父にあたる人物。 |
| 第二の王子 | 一院の第二皇子。入寺する人物。 |
文章全体では、「一院の第二皇子が、周囲に知られないように寺へ入られた」という内容を表しています。
「しめ」は使役か尊敬か
古文の「しめ」は、助動詞「しむ」の連用形です。「しむ」には主に使役(〜させる)と尊敬(お〜になる)の二つの意味があります。
例えば、「帝、臣に命を聞かしめ給ふ」のような場合は、「帝が臣下に聞かせなさる」という意味で、使役になります。
一方、「御覧せしめ給ふ」のように、身分の高い人物の動作を敬って表す場合は尊敬になります。
「せしめ給ふ」で尊敬になる理由
今回の文章でポイントになるのは、「給ふ」が付いていることです。「給ふ」は古文では尊敬の補助動詞として使われることが多く、主語が高貴な人物であることを示します。
「入寺せしめ給ふ」を単純に「入寺させなさる」と考えると、一院が第二王子を寺に送ったという意味になります。しかし、その場合は「給ふ」が誰への敬意なのかを考える必要があります。
この文では、「給ふ」は入寺する第二王子への敬意を表しており、「第二王子が入寺なさる」という解釈が自然です。
古文で使役と尊敬を見分けるポイント
「しむ」が出てきた場合は、まず誰が動作をしているのかを確認することが大切です。動作の主体が身分の高い人物なら、尊敬の意味になる可能性があります。
また、「給ふ」「おはす」などの尊敬語が一緒に使われている場合は、全体として尊敬表現になることが多くあります。
例えば、「帝、寺に移らせ給ふ」という文章なら、「帝が寺へお移りになる」という意味で、帝自身の行動を敬っています。
まとめ
「一院第二の王子、ひそかに入寺せしめ給ふ。」は、「一院の第二王子が、ひそかに寺へお入りになる」という意味です。
この場合の「しめ」は使役ではなく尊敬表現として考えるのが適切です。「給ふ」が付いていることや、文の主語が高貴な人物であることから、第二王子自身の動作を敬って表していると判断できます。
古文の助動詞は単語だけで判断せず、主語・敬語・文脈を合わせて考えることで正確に意味を読み取れるようになります。


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