多変数多項式について、2つの多項式f(x1,…,xn)、g(x1,…,xn)が与えられたとき、両方を同時に0にしない点(a1,…,an)が存在するかという問題は、代数学でよく現れる基本的な考え方です。
この問題では、1変数多項式の性質を利用して変数を1つずつ減らしながら証明する方法が有効です。提示された証明方針は基本的に正しく、帰納法による証明として成立します。ただし、いくつか補足するとより厳密になります。
問題の主張と意味
考えている主張は、実数または複素数係数の多項式f,gについて、fが恒等的に0でない、gも恒等的に0でないならば、ある点(a1,…,an)が存在して、
f(a1,…,an)≠0かつg(a1,…,an)≠0
となるというものです。
言い換えると、fが0になる点全体と、gが0になる点全体を合わせても、空間全体を覆うことはないという主張です。これは「非零多項式はすべての点で0になることはない」という1変数の場合の性質を、多変数へ拡張したものと考えることができます。
1変数の場合の基本となる性質
まず1変数多項式について考えます。0でない多項式h(x)は、有限個の根しか持ちません。
例えばh(x)=x²-1ならば根は1と-1の2個だけです。それ以外の数を代入すればh(x)は0ではありません。
したがって、2つの0でない1変数多項式f(x),g(x)があれば、それぞれの根の集合は有限集合です。実数や複素数には有限個の点以外にも無限に数が存在するため、両方の根を避ける数rを選ぶことができます。
提示された証明の考え方は正しい
提示された証明では、n=2の場合に多項式をyについて整理しています。
f(x,y)=Σu(x,p)y^p
g(x,y)=Σv(x,q)y^q
という形に分け、最高次係数u(x,m)、v(x,m’)に注目しています。この考え方は正しいです。
最高次係数が恒等的に0でないため、帰納法の仮定によって、あるr=(r1,…,r(n-1))を選び、
u(r1,…,r(n-1),m)≠0、v(r1,…,r(n-1),m’)≠0
とできます。
すると、このrを代入したfとgは、最後の変数xnについて0でない1変数多項式になります。したがって、xnについて両方の根を避ける値rnを取ることができます。
証明で補足した方がよい部分
証明をより厳密に書く場合、最高次係数について少し注意が必要です。例えばfをxnについて展開したとき、最高次数mの係数u(x1,…,x(n-1),m)が0でない多項式であることを確認する必要があります。
これはf自体が0多項式ではないため成立します。もし最高次係数まで含めてすべての係数が0多項式なら、fそのものが0多項式になってしまいます。
また、最後にxnを選ぶ部分では、「f(r,xn)とg(r,xn)の根を避ける値が存在する」と書く必要があります。これは1変数多項式が有限個の根しか持たないことを利用しています。
帰納法による一般の場合の流れ
一般のnについては、変数xnに関して多項式を展開します。
f(x1,…,xn)=Σu_p(x1,…,x(n-1))xn^p
g(x1,…,xn)=Σv_q(x1,…,x(n-1))xn^q
と書きます。
ここで最高次係数u_mとv_m’は、n-1変数の0でない多項式です。帰納法の仮定により、これらを同時に0にしない(x1,…,x(n-1))を選べます。
その点を固定すると、fとgはxnだけの0でない1変数多項式になります。そのため、有限個の禁止される値を避けてxnを選択できます。
以上により、n変数の場合にもfとgを同時に0にしない点が存在することが示されます。
別の見方:零点集合が空間全体にはならない
この結果は幾何学的にも理解できます。1つの非零多項式が0になる場所は、多変数の場合には曲面や超平面のような集合になります。
例えば2変数なら、x²+y²-1=0は円を表します。しかし、円は平面全体ではありません。
2つの多項式の零点集合を合わせても、それらは有限個の低次元の集合であり、通常は空間全体を覆うことはできません。
まとめ|証明方針は正しく、帰納法で完成できる
提示された証明のアイデアは正しいです。1変数の場合の「非零多項式は有限個の根しか持たない」という事実を使い、最後の変数から順番に値を決めていくことで証明できます。
補足すると、最高次係数が0でない多項式になること、最後に根を避ける値を選べることを明示すると、より完全な証明になります。
この方法は多変数多項式の基本的な証明テクニックであり、代数学や代数幾何学でも重要な考え方につながっています。

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