三角関数を含む積分の中でも、分母にa+bcosxの形が現れる積分は、フーリエ解析や物理数学などでも登場する重要な形です。特に(a>|b|)という条件は、分母が0にならないことを保証し、積分を安全に扱うために必要になります。
この記事では、基本となる積分から微分を利用する方法を使って、∫[0,π]dx/(a+bcosx)^2および∫[0,π]dx/(a+bcosx)^3を順番に導出します。
基本となる積分 ∫[0,π]dx/(a+bcosx) を求める
まず、次の基本積分を考えます。
I(a)=∫[0,π]dx/(a+bcosx)
ここで半角公式を利用して、t=tan(x/2)と置換します。
cosx=(1-t²)/(1+t²)、dx=2dt/(1+t²)
x=0ではt=0、x=πではt→∞となるため、
I(a)=∫[0,∞]2dt/{a(1+t²)+b(1-t²)}
=∫[0,∞]2dt/{(a+b)+(a-b)t²}
となります。
a>|b|よりa+b>0、a-b>0なので、標準積分の形になり、
I(a)=2/√((a+b)(a-b))×π/2
したがって、
I(a)=π/√(a²-b²)
を得ます。
1つ目の積分 ∫[0,π]dx/(a+bcosx)^2 の求め方
次に、
I₂=∫[0,π]dx/(a+bcosx)^2
を考えます。
ここで先ほど求めたI(a)をaについて微分します。
I(a)=∫[0,π](a+bcosx)^(-1)dx
なので、微分と積分の順序を交換すると、
dI/da=∫[0,π]-1/(a+bcosx)^2dx
となります。
つまり、
I₂=-dI/da
です。
一方、
I(a)=π(a²-b²)^(-1/2)
なので、
dI/da=-πa(a²-b²)^(-3/2)
となります。
したがって、
I₂=πa/(a²-b²)^(3/2)
となります。
2つ目の積分 ∫[0,π]dx/(a+bcosx)^3 の求め方
続いて、
I₃=∫[0,π]dx/(a+bcosx)^3
を求めます。
先ほどと同じようにI₂をaで微分します。
I₂=∫[0,π](a+bcosx)^(-2)dx
より、
dI₂/da=∫[0,π]-2/(a+bcosx)^3dx
となります。
したがって、
I₃=-1/2 dI₂/da
です。
ここで、
I₂=πa(a²-b²)^(-3/2)
を微分すると、
dI₂/da=π(a²-b²)^(-3/2)-3πa²(a²-b²)^(-5/2)
となります。
分母をそろえると、
dI₂/da=π{(a²-b²)-3a²}/(a²-b²)^(5/2)
=-π(2a²+b²)/(a²-b²)^(5/2)
となります。
よって、
I₃=π(2a²+b²)/(2(a²-b²)^(5/2))
となります。
微分を利用する方法が有効な理由
今回のような積分では、分母の次数が増えるほど直接計算するのは難しくなります。しかし、基本となる積分を一度求めておけば、パラメータaで微分することで高次の積分を簡単に導けます。
例えば、
1/(a+bcosx)
という形から微分を1回行えば2乗の分母が現れ、さらにもう1回行えば3乗の分母を含む積分につながります。
これは数学や物理でよく使われる「パラメータ微分」という考え方で、複雑な積分を関連する簡単な積分から求める方法です。
計算結果の確認
以上より、求める積分は次のようになります。
| 積分 | 結果 |
|---|---|
| ∫[0,π]dx/(a+bcosx)^2 | πa/(a²-b²)^(3/2) |
| ∫[0,π]dx/(a+bcosx)^3 | π(2a²+b²)/(2(a²-b²)^(5/2)) |
条件a>|b|によってa²-b²>0となるため、平方根やべき乗の計算も問題なく行えます。
まとめ|三角関数積分は基本形を作って微分すると解きやすい
a+bcosxを含む積分では、まず基本形となる∫dx/(a+bcosx)を求め、その結果をパラメータaで微分することで高次の分母を持つ積分を計算できます。
今回の結果は、
∫[0,π]dx/(a+bcosx)^2=πa/(a²-b²)^(3/2)
∫[0,π]dx/(a+bcosx)^3=π(2a²+b²)/(2(a²-b²)^(5/2))
となります。
複雑に見える積分でも、基本となる式を見つけて関連付けることで効率よく解くことができます。

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