三角関数や対数を含む積分は、そのまま計算しようとすると難しく見えます。しかし、対称性や置換積分、既知の積分公式を利用すると、複雑な形でも整理して解くことができます。
この記事では、(1) ∫[0,a]log|1+tan a・tan x|dx(0<a<π/2)と、(2) ∫[0,1]log(1+x)/(1+x²)dx の2つの積分について、複素積分を使わない考え方で解説します。
(1) ∫[0,a]log|1+tan a tan x|dx の変形
まず、三角関数の加法定理を利用します。
tan(a+x)= (tan a+tan x)/(1-tan a tan x)
ここで求める式には1+tan a tan xが含まれています。そのため、cosの加法定理を使う方が便利です。
cos(a+x)=cos a cos x-sin a sin x
また、
1+tan a tan x=(cos a cos x+sin a sin x)/(cos a cos x)
となります。
分子は余弦の加法定理より、
cos a cos x+sin a sin x=cos(a-x)
なので、
1+tan a tan x=cos(a-x)/(cos a cos x)
となります。
対数を分けて積分する
したがって、積分は
I=∫[0,a]log|cos(a-x)/(cos a cos x)|dx
となります。
対数の性質を利用すると、
I=∫[0,a]log|cos(a-x)|dx-∫[0,a]log(cos a cos x)dx
となります。
さらに分けると、
I=∫[0,a]log(cos(a-x))dx-a log(cos a)-∫[0,a]log(cos x)dx
となります。
ここで最初の積分にu=a-xと置換すると、
∫[0,a]log(cos(a-x))dx=∫[0,a]log(cos u)du
となります。
よって、この項と最後の積分が打ち消し合います。
したがって、
I=-a log(cos a)
となります。
(1)の答え
以上より、
∫[0,a]log|1+tan a tan x|dx=-a log(cos a)
となります。
ポイントは、tanを直接扱うのではなく、加法定理によってcosの比に変形することです。
(2) ∫[0,1]log(1+x)/(1+x²)dx の考え方
次に、
J=∫[0,1]log(1+x)/(1+x²)dx
を考えます。
分母の1+x²を見ると、x=tan tという置換が有効です。
x=tan tとすると、
dx/(1+x²)=dt
になります。
x=0のときt=0、x=1のときt=π/4なので、
J=∫[0,π/4]log(1+tan t)dt
となります。
対称性を使って計算する
ここで、
1+tan t=(cos t+sin t)/cos t
と変形します。
cos t+sin t=√2 cos(t-π/4)
なので、
log(1+tan t)=log√2+log cos(t-π/4)-log cos t
となります。
したがって、
J=∫[0,π/4]log√2dt+∫[0,π/4]log cos(t-π/4)dt-∫[0,π/4]log cos tdt
となります。
第2項でu=t-π/4と置換すると、
∫[0,π/4]log cos(t-π/4)dt=∫[-π/4,0]log cos udu
cosは偶関数なので、
=∫[0,π/4]log cos udu
となります。
よって第2項と第3項は打ち消し合います。
(2)の答え
残るのは定数項のみです。
J=∫[0,π/4]log√2dt
log√2=1/2 log2なので、
J=(π/4)×(1/2 log2)
となります。
したがって、
∫[0,1]log(1+x)/(1+x²)dx=π/8 log2
です。
2つの積分に共通する解法のポイント
今回の2つの問題では、単純な積分計算よりも「式の形を見る力」が重要になります。
(1)ではtanを三角関数の加法定理に変換することで、積分同士が打ち消し合う形を作りました。
(2)ではx=tan tという置換によって分母を消し、その後に三角関数の対称性を利用しました。
対数積分では、無理に展開するよりも、対数の性質や対称性を利用して簡単な形へ変換することが解法の基本になります。
まとめ
今回の積分結果は以下の通りです。
(1) ∫[0,a]log|1+tan a tan x|dx=-a log(cos a)
(2) ∫[0,1]log(1+x)/(1+x²)dx=π/8 log2
どちらも直接計算するのではなく、三角関数の公式や置換によって積分の形を整えることで解くことができます。
難しい積分問題では、計算技術だけでなく「どの形に変形すれば簡単になるか」を見抜くことが重要です。


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