初生マグマの組成は一定なのか?圧力によって変化する理由を部分溶融から解説

地学

マグマの成り立ちを学ぶと、「初生マグマはほぼ一定の組成を持つ」と説明される一方で、「マントルが溶ける圧力条件によってシリカ量が異なる」とも説明されることがあります。この2つの説明は一見すると矛盾しているように感じられます。

しかし実際には、これらは異なる前提で述べられている内容です。この記事では、初生マグマとは何か、部分溶融と圧力の関係、そしてなぜ組成に幅が生じるのかを整理して解説します。

初生マグマとは何か

初生マグマとは、マントルなどの源岩が部分的に溶融してできた、ほとんど結晶分化や混合などの影響を受けていないマグマのことです。

つまり、地下深部の岩石が初めて溶けて生じた液体部分が初生マグマです。火山から噴出したマグマは、その後に冷却や結晶の分離、周囲の岩石との反応などを経験している場合が多いため、必ずしも初生マグマそのものではありません。

地球科学では、現在見られる火成岩から地下でどのようなマグマが最初に形成されたのかを推定するため、初生マグマの性質が重要になります。

「初生マグマの組成は一定」という説明の意味

初生マグマの組成が一定と説明される場合、多くの場合は「ある特定の条件で形成された初生マグマは、比較的決まった範囲の組成を持つ」という意味です。

例えば、上部マントルを構成する代表的な岩石であるかんらん岩が部分溶融すると、玄武岩質のマグマができやすいことが知られています。そのため、基本的な傾向として初生マグマは玄武岩質で、シリカ(SiO₂)量も大きく変化しないように見えます。

これは「どんな条件でも世界中の初生マグマが完全に同じ組成になる」という意味ではありません。あくまで、一般的な教科書的モデルにおける代表的な説明です。

圧力によって初生マグマの組成が変化する理由

マントルが部分溶融するとき、どの鉱物がどの程度溶けるかは温度や圧力によって変化します。そのため、溶け始める条件が変わると、できるマグマの組成も変化します。

特に圧力が高い深部では、低圧環境とは異なる鉱物の安定関係になります。その結果、溶融する割合や溶け出す元素の種類が変わり、シリカ量の少ないマグマが形成される場合があります。

例えば、浅い場所での部分溶融では比較的シリカに富んだメルトができやすく、より深い高圧条件ではシリカに乏しいメルトが生成されることがあります。

一定と多様という2つの説明は矛盾していない

「初生マグマは一定の組成を持つ」という説明と「圧力によって組成が変化する」という説明は、見ている範囲が違います。

前者は、典型的なマントル条件から生じる代表的な初生マグマについて述べています。一方、後者は、地下深部から浅部まで異なる圧力条件を考慮した、より詳細な地球科学的な視点です。

例えるなら、「水は100℃で沸騰する」と学ぶ一方で、「標高によって沸点は変わる」と学ぶことと似ています。標準的な条件では一定の値を示しますが、環境条件が変われば結果も変化します。

初生マグマの多様性を決める要素

初生マグマの組成を変化させる要因は圧力だけではありません。主な要素として以下のようなものがあります。

  • マントルの化学組成
  • 部分溶融する割合(融解度)
  • 温度
  • 圧力
  • 水などの揮発性成分の存在

例えば、水が存在すると岩石はより低い温度で溶け始めます。その結果、通常とは異なる組成のマグマが生成されることがあります。

また、マントル自体も場所によって完全に同じ組成ではありません。海嶺、ホットスポット、沈み込み帯など、それぞれ異なる環境で異なる初生マグマが形成されています。

初生マグマから火成岩ができるまで

地下で生じた初生マグマは、そのまま地表に現れるとは限りません。上昇する途中で冷却すると、一部の鉱物が結晶化し、その結晶が分離することで残ったマグマの組成が変化します。

この過程を結晶分化作用と呼びます。例えば、玄武岩質の初生マグマからでも、長い時間をかけて変化すると安山岩や流紋岩のような、よりシリカに富むマグマが形成されることがあります。

そのため、現在地表で観察される火山岩の組成だけを見ても、地下で最初にできた初生マグマの性質を直接判断することは簡単ではありません。

まとめ|初生マグマは基本的な傾向はあるが条件によって多様になる

初生マグマについて「ほぼ一定の組成を持つ」と説明されるのは、代表的なマントル条件を前提にした場合の話です。

一方で、実際の地球内部では圧力、温度、マントルの組成、水などの条件が場所によって異なるため、初生マグマの組成にも幅があります。

したがって、初生マグマは「完全に一定」でも「無限に多様」でもなく、基本的な傾向を持ちながら、形成条件によって変化するものと考えるのが正確です。2つの説明は矛盾しているのではなく、異なるスケールから見た説明なのです。

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