2変数関数の極限では、極座標変換を用いることで計算が簡単になる場合があります。しかし、変換後の式の扱い方を誤ると、誤った結論に至ることもあります。本記事では、与えられた関数の極限の考え方を整理しながら、正しい評価方法を解説します。
問題設定と極座標変換の基本
関数 f(x,y)=√(x²+y²)/arctan(y/x) を (x,y)→(0,0) の極限で考えます。
ここで x=rcosθ, y=rsinθ とおくと、√(x²+y²)=r となります。
また y/x=tanθ なので、arctan(y/x)=arctan(tanθ) となりますが、ここに注意が必要です。
arctan(y/x)の扱いにおける重要な注意点
arctanは単に逆関数として機械的に扱うことができません。
なぜなら arctan(tanθ)=θ となるのは主値範囲(-π/2 < θ < π/2)に限られるためです。
今回の条件 x>0, y>0 では θ は (0, π/2) に制限されるため、この範囲では成立します。
極座標変換後の式の整理
条件を満たす範囲では arctan(y/x)=θ と置けるため、関数は f(r,θ)=r/θ となります。
ここで重要なのは、極限において r→0 と同時に θ も一定方向に依存する点です。
つまり単純に r→0 として扱うだけでは不十分です。
極限の本質とθ依存性
(x,y)→(0,0)では、θは固定されず経路によって変化します。
したがって r/θ の極限を考える際には、θ→0 またはθ→定数のどちらを取るかで結果が変わる可能性があります。
特に θ→0 に近づく経路では、分母が小さくなるため値は発散する可能性があります。
極限が存在するかどうかの結論
この関数は経路依存性があり、(x,y)→(0,0) の極限は一意に定まりません。
特定の直線経路では値が0に見える場合もありますが、それは全経路で一致していることを意味しません。
したがって、この極限は「0と結論づけることはできない」が正しい評価です。
まとめ
極座標変換は2変数極限の強力な手法ですが、角度θの扱いを誤ると誤解が生じます。
今回の関数ではθ依存性が残るため、単純にr→0とするだけでは極限は決まりません。
重要なのは、すべての経路で一致するかどうかを確認することです。


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