非常用発電機は停電時にどう動く?自動起動の仕組みとATS・リレーの役割をわかりやすく解説

工学

病院やビル、工場、マンションなどに設置されている非常用発電機は、停電が発生すると自動的に起動して重要な設備へ電力を供給します。しかし、その裏ではリレーや自動切替装置(ATS)などが連携して動作しています。

この記事では、非常用発電機が停電を検知して起動する仕組みや、リレー・ATSの役割について初心者にもわかりやすく解説します。

非常用発電機の基本的な構成

一般的な非常用発電設備は、発電機本体だけでなく複数の制御機器で構成されています。

機器 役割
発電機 電力を発生させる
エンジン 発電機を回転させる原動力
始動用バッテリー 停電時のセルモーター駆動
ATS(自動切替開閉器) 商用電源と発電機電源を切り替える
電圧監視リレー 停電や電圧低下を検出する
制御盤 起動・停止を管理する

これらが連携することで、人が操作しなくても停電時に自動運転が可能になります。

停電を検知する仕組みとは

停電を最初に検知するのは電圧監視リレーや不足電圧継電器と呼ばれる装置です。

通常時は商用電源の電圧を常に監視しており、電圧が一定値以下になると停電と判断します。

例えば三相200V系統なら、電圧が大幅に低下した際にリレーが動作し、制御盤へ停電信号を送ります。

停電発生→監視リレー動作→制御盤へ信号送信という流れが最初のステップです。

発電機が自動起動するまでの流れ

停電信号を受けた制御盤は、発電機エンジンの始動シーケンスを開始します。

始動用バッテリーからセルモーターへ電力が供給され、自動車のエンジン始動と似た仕組みでエンジンを回転させます。

エンジンが始動すると回転数が安定するまで数秒から十数秒待機し、その後発電機が規定電圧・規定周波数を出力できる状態になります。

一般的な非常用発電機では停電発生から10〜40秒程度で非常電源供給が開始されます。

ATS(自動切替開閉器)の重要な役割

発電機が起動しただけでは建物へ電力は供給されません。

ここで重要になるのがATS(Automatic Transfer Switch)です。

ATSは商用電源と発電機電源を切り替える装置であり、双方を同時接続しないよう機械的・電気的なインターロック機構を備えています。

まず商用電源側を遮断し、その後に発電機側を接続します。

これにより電力会社の系統へ逆流する事故を防止できます。

停電復旧後はどうなるのか

商用電源が復旧すると監視リレーが正常電圧を検知します。

ただし瞬時的な復旧と再停電を避けるため、数十秒から数分程度の確認時間を設ける場合があります。

電源が安定していると判断されるとATSが商用電源側へ復帰し、非常用発電機は一定時間の冷却運転を行った後に停止します。

この冷却運転はターボチャージャーやエンジン内部の熱を下げるために重要です。

リレーはどのように使われているのか

非常用発電設備には複数のリレーが使用されています。

  • 不足電圧リレー(停電検出)
  • 過電圧リレー(異常電圧保護)
  • 周波数リレー(周波数異常検出)
  • 補助リレー(制御信号伝達)
  • タイマーリレー(遅延動作制御)

これらのリレーが連携することで、安全かつ確実な自動運転が実現されています。

近年はPLCやマイコン制御も普及していますが、安全保護回路には現在でもリレーが広く使われています。

まとめ

非常用発電機は停電時に単独で動作するのではなく、電圧監視リレー、制御盤、始動装置、ATSなどが連携して自動運転を実現しています。

停電を検知すると監視リレーが制御盤へ信号を送り、発電機が起動し、ATSが電源を切り替えることで重要設備へ電力を供給します。

特にATSと電圧監視リレーは、非常用発電設備の自動運転を支える中核的な機器であり、安全な電源供給に欠かせない存在です。

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