『竹取物語』の「たる」の意味とその用法

『竹取物語』における「たる」の使い方について、特に「持たせたる箱あり」という文を例にとって解説します。この文での「たる」が「存続の連体形」とされる理由について、完了の意味ではないことを説明します。

1. 「たる」の基本的な意味と用法

「たる」という表現は、古典文学において重要な役割を果たします。現代日本語での「たる」は、「〜である」「〜の状態である」という意味で使われることが多く、動詞「たる」の活用形です。しかし、古典文学で使われる「たる」は、文脈によってさまざまな意味合いを持つことがあります。

「たる」は「存続の連体形」として使われる場合もありますが、これは動作や状態が続いていることを示す形です。つまり、何かが存在し続けるという「状態」を表します。

2. 「たる」が示す「存続」とは？

「持たせたる箱あり」という文の「たる」は、「存続の連体形」による表現です。ここで「たる」は、箱が「持たせた」状態、つまりその箱が持たれたままで存在していることを意味しています。この場合、箱がすでに持たれており、その状態が維持されていることを示しています。

一方、完了形としての「たる」は「〜した」という動作の完了を示すもので、例えば「持たせた」というような過去の行為が終了した状態を表します。しかし、ここでは動作の完了ではなく、状態が続いていることを強調しているため、「存続の連体形」が適切な用法とされています。

3. 「たる」と完了形の違い

完了形の「たる」と「存続の連体形」の違いを理解するためには、動作が終了したのか、状態が続いているのかを区別する必要があります。完了形の場合、動作が「終わった」ことを示しますが、「存続の連体形」は、何かの状態が維持されていることを意味します。

「持たせたる箱あり」という文では、箱が持たれている状態が「続いている」ことを示しており、これが「存続の連体形」としての使い方になります。

4. まとめ

『竹取物語』の「たる」は、「存続の連体形」として使われ、箱が「持たれている状態」が続いていることを示しています。完了形の「たる」とは異なり、この用法では動作の完了ではなく、状態が維持されていることを表しています。古典文学における「たる」の使い方を理解することで、より深く『竹取物語』を読み解くことができます。