自然数の二乗和である「∑[k=1→n]k²」の公式を証明するとき、差分を利用する方法は非常に有効です。しかし、展開した式を整理する際に移項や符号の扱いを間違えると、途中でマイナスが出てしまい公式と一致しないことがあります。
この記事では、(k+1)³-k³を利用して二乗和の公式を導く流れを丁寧に確認し、なぜ計算途中で符号ミスが起きやすいのか、正しい整理方法を解説します。
特に「3∑k²=-3∑k-∑1になる」という計算がどこで間違っているのかを、式変形を追いながら説明します。
(k+1)³-k³を利用する二乗和の証明方法
二乗和の公式を求めるときは、三乗の差を利用します。まず、次の式を考えます。
(k+1)³-k³
これを展開すると、(k³+3k²+3k+1)-k³となるため、
(k+1)³-k³=3k²+3k+1
となります。この式をk=1からnまで足し合わせます。
∑[k=1→n]((k+1)³-k³)=∑(3k²+3k+1)
右辺を分解すると、
∑((k+1)³-k³)=3∑k²+3∑k+∑1
となります。
左辺は望遠鏡和になることがポイント
ここで重要なのは、左辺が単純な和ではなく、途中の項が消える「望遠鏡和」になっていることです。
具体的に書くと、
(2³-1³)+(3³-2³)+(4³-3³)+…+((n+1)³-n³)
となります。
すると、+2³と-2³、+3³と-3³のように途中の項がすべて打ち消され、最後に残るのは、
(n+1)³-1
だけです。
したがって、
3∑k²+3∑k+∑1=(n+1)³-1
となります。
符号ミスが起きる原因は移項の方向
ここで間違いやすいのが、3∑k²を求めるための整理です。
正しい式は、
3∑k²+3∑k+∑1=(n+1)³-1
です。
両辺から3∑kと∑1を引くと、
3∑k²=(n+1)³-1-3∑k-∑1
になります。
つまり、右辺にはマイナスが付きますが、それは左辺の項を移項した結果です。「3∑k²=-3∑k-∑1」とだけ書いてしまうと、本来右辺に残るべき(n+1)³-1が抜けています。
この抜けによって、負の値だけが残り、公式と合わない結果になります。
公式を代入して最後まで計算する
ここから、既知の公式を代入します。
∑k=n(n+1)/2
∑1=n
なので、
3∑k²=(n+1)³-1-3×n(n+1)/2-n
となります。
右辺を整理すると、
(n+1)³-1=n³+3n²+3n
なので、
3∑k²=n³+3n²+3n-3n(n+1)/2-n
となります。
さらに整理すると、
3∑k²=n³+3n²+2n-3n(n+1)/2
となり、
3∑k²=n(n+1)(2n+1)/2
が得られます。
最後に3で割ることで、
∑k²=n(n+1)(2n+1)/6
という二乗和の公式になります。
具体例で確認すると計算ミスを発見しやすい
例えばn=3の場合、二乗和は、
1²+2²+3²=14
です。
公式に代入すると、
3×4×7÷6=14
となり一致します。
一方で、途中式から(n+1)³-1の項を落としてしまうと、負の値になってしまいます。このように小さい数で確認すると、どの部分で式を失っているか気付きやすくなります。
まとめ
∑k²の公式は、(k+1)³-k³を利用した望遠鏡和によって証明できます。
計算途中で「3∑k²=-3∑k-∑1」となるのは、左辺の項を移項した際に右辺の(n+1)³-1を落としていることが原因です。
正しい整理では、3∑k²=(n+1)³-1-3∑k-∑1となります。和の証明では、移項だけでなく、元の式に残っている項をすべて確認することが符号ミスを防ぐポイントです。


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