B種接地を切ると感電しないのか?漏電時に人体へ電流が流れる仕組みを解説

工学

電気回路では「電流は閉回路ができなければ流れない」という考え方があります。そのため、漏電時に人体を通って地面へ電流が流れる場合でも、接地線を外せば帰り道がなくなり感電しないのではないかと疑問に感じることがあります。

しかし、実際の電気設備では大地や接地設備、電源側の接地点などが関係しており、単純な2線式の回路だけでは説明できません。この記事では、B種接地の役割と、漏電時に人体へ電流が流れる仕組みについて、電気の流れを理解しながら解説します。

そもそもB種接地とは何のためにあるのか

B種接地とは、変圧器の低圧側中性点などに施される接地方式で、主に感電防止や異常電圧の抑制を目的としています。

例えば、電柱上の変圧器では高圧側から低圧側へ電圧を変換しています。このとき低圧側の一部を大地へ接続することで、電路の基準電位を安定させ、万が一の漏電時に保護装置を動作させやすくしています。

つまりB種接地は、単に電気を地面へ逃がすためだけのものではなく、電気設備全体の安全性を保つ重要な役割を持っています。

漏電時に人体へ電流が流れる理由

漏電による感電では、電流が必ずしも元の電線へ直接戻るとは限りません。重要なのは、電位差が存在し、電流が流れる経路が形成されることです。

例えば、絶縁が破れて金属製の機器外箱に電圧が現れた場合、その機器に触れた人が地面に立っていると、人体から大地へ電流が流れる可能性があります。

このとき電流の経路は「電源の片側→漏電した機器→人体→大地→接地設備→変圧器の接地点→電源」というルートになります。大地そのものも電気的な経路の一部になるため、閉回路が成立します。

B種接地を切れば本当に感電しなくなるのか

B種接地を取り外せば安全になるように思えるかもしれませんが、実際には非常に危険な考え方です。接地をなくすことで、感電経路が完全になくなるとは限りません。

例えば、建物にはD種接地など別の接地設備が存在する場合があります。また、水道管や鉄骨、他の接地された機器などを通じて、大地との電気的なつながりが残ることがあります。

さらに、接地を切ることで漏電ブレーカーなどの保護装置が正常に働かなくなる可能性があります。つまり感電を防ぐどころか、故障状態が長時間続く危険があります。

「電流は発電所に戻る」という考え方の注意点

電流は確かに最終的には電源側へ戻ることで回路を形成します。しかし、家庭や工場などの電気設備では、発電所まで一本の線だけで戻っているわけではありません。

電力系統では、変圧器の接地や送電設備の構造によって複数の帰路が存在します。そのため、人体を経由した電流も、地面や接地設備を通って電源側へ戻ることがあります。

例えるなら、水道の配管に複数の経路がある状態に近く、一つの経路を塞いだからといって必ず流れが止まるわけではありません。

漏電ブレーカーと接地が果たす安全上の役割

現在の電気設備では、感電事故を防ぐために接地と保護装置が組み合わせて使われています。

漏電ブレーカーは、行きの電流と帰りの電流に差が生じた場合、それを漏電として検出して回路を遮断します。これは、人体や大地を通って一部の電流が別経路へ流れている状態を検知しているためです。

接地設備が適切に施工されていることで、漏電電流が流れやすい経路ができ、保護装置が速やかに動作できます。

感電を防ぐために接地を外してはいけない理由

電気設備の接地は、危険な電圧を発生させないためではなく、異常が起きたときに安全な経路を作るためのものです。

接地をなくせば一時的に漏電電流が流れにくくなる場合があっても、機器の金属部分に危険な電圧が残り続ける可能性があります。

例えば、接地された金属ケースなら漏電時にブレーカーが作動する可能性がありますが、接地されていない金属ケースでは、人が触れた瞬間に人体が電流経路になることがあります。

まとめ

B種接地を切れば人体への感電経路がなくなるという考え方は、電気回路を単純化した場合には理解しやすいものですが、実際の電力設備では成立しません。

漏電時の電流は、大地や接地設備、変圧器の接地点などを通って電源側へ戻ることがあり、B種接地はその危険を減らすための重要な設備です。

接地は電気を逃がして危険を増やすものではなく、異常時に安全な電流経路を作り、保護装置を働かせるための仕組みです。電気設備では接地を外すのではなく、正しく施工・維持することが感電防止につながります。

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