関数x−√(x²−1)について、x=1から∞までの広義積分が収束するかどうかを調べるには、無限遠での関数の振る舞いを確認することが重要です。一見するとxと√(x²−1)が近い値になるため差が小さく見えますが、その減少速度によって積分の収束性が決まります。
この記事では、x−√(x²−1)の広義積分について、式変形や置換積分を用いて、なぜ収束するのか、どのように値を求められるのかを分かりやすく解説します。
x−√(x²−1)の広義積分で確認すべきポイント
対象となる積分は次のように表されます。
∫₁∞(x−√(x²−1))dx
上端が∞になっているため、これは通常の定積分ではなく広義積分です。収束するかどうかを判断するには、まずxが非常に大きくなったときに関数がどの程度の速さで0に近づくかを調べます。
もし関数が1/xのような減少速度であれば積分は発散しますが、1/x²のようにより速く減少する場合は収束します。
式変形によって関数の形を分かりやすくする
x−√(x²−1)は、そのままでは無限大付近での性質が分かりにくいため、有理化を行います。
(x−√(x²−1))(x+√(x²−1))=x²−(x²−1)=1
したがって、次の関係が得られます。
x−√(x²−1)=1/(x+√(x²−1))
この形を見ると、xが大きくなるにつれて分母が約2xになるため、関数はおおよそ1/(2x)になるようにも見えます。しかし、ここで注意が必要です。この近似だけでは積分の収束性を正確には判断できません。
無限遠での正確な漸近評価
さらに詳しく調べるため、√(x²−1)を展開します。
√(x²−1)=x√(1−1/x²)
xが十分大きい場合、二項展開によって以下のようになります。
√(1−1/x²)≈1−1/(2x²)
したがって、
√(x²−1)≈x−1/(2x)
となります。
これを元の式に代入すると、
x−√(x²−1)≈1/(2x)
となります。この結果だけを見ると、1/x型の減少であるため積分は発散するように思えます。
実際の広義積分の計算と収束性
関数の正確な積分を考えるため、x=cosh tという置換を利用します。
x≥1では、双曲線関数を使ってx=cosh tと置くことができます。このとき、
√(x²−1)=sinh t
となるため、被積分関数は次のように変化します。
x−√(x²−1)=cosh t−sinh t=e^{-t}
また、dx=sinh t dtなので積分は、
∫₀∞e^{-t}sinh t dt
となります。
ここで、e^{-t}sinh tを整理すると、
e^{-t}sinh t=(1−e^{-2t})/2
となります。しかし、この式はt→∞で1/2に近づくため、積分は有限値に収まりません。
広義積分は収束するのか
以上の結果から、x−√(x²−1)のx=1から∞までの広義積分は収束しません。
理由は、xが大きい範囲で関数が約1/(2x)のように減少するためです。1/x型の関数の積分である∫₁∞1/x dxは発散するため、比較判定法によって同じように発散すると判断できます。
一見するとxと√(x²−1)の差は非常に小さく見えますが、無限区間で積分する場合は、その小ささだけではなく、どの速度で0に近づくかが重要になります。
広義積分の収束判定で大切な考え方
無限区間の積分では、関数の値が0に近づくかどうかだけではなく、その近づき方を確認する必要があります。
例えば、1/xはxが大きくなると0に近づきますが、積分すると無限大になります。一方で1/x²はさらに速く0へ近づくため、積分は有限になります。
x−√(x²−1}のような差の形をした関数では、有理化や漸近展開を使うことで、本当の減少速度を見極めることができます。
まとめ
x−√(x²−1)のx=1から∞までの広義積分は、収束せず発散します。
有理化によって関数の形を確認すると、無限遠で約1/(2x)の大きさになることが分かります。そのため、1/x型の発散する積分と同じ性質を持ちます。
広義積分の問題では、単純に関数が小さくなるかを見るだけではなく、無限大での減少速度を調べることが、収束判定の重要なポイントになります。


コメント