電技解釈の「低圧側の一端子を接地」とはどこを指す?変圧器二次側接地の考え方を解説

工学

電気設備技術基準の解釈(電技解釈)では、低圧電路の接地方法について細かい規定があります。特に「変圧器の中性点を接地することが困難な場合は、低圧側の一端子を接地することができる」という表現は、三相交流や単相3線式を扱う際に疑問を持ちやすい部分です。

この「一端子」とは、単純に分電盤内の端子を指すものではなく、変圧器二次側の低圧電路を構成する端子のうち、接地側として選定した一つの電気的な端子を意味します。

この記事では、この規定の意味や対象となる接地箇所、三相回路や単相3線式での考え方について分かりやすく解説します。

「低圧側の一端子を接地する」とは何を意味するのか

変圧器の二次側には複数の端子があります。通常、低圧電路では電路の一部を大地と接続することで、異常時の電位上昇を抑えたり、感電防止や保護装置の確実な動作を目的として接地を行います。

一般的には変圧器二次側の中性点を接地します。例えば三相4線式や単相3線式では、中性点を接地することで各線の対地電圧を安定させることができます。

しかし、構造上中性点を取り出せない変圧器や、中性点接地が困難な設備では、中性点の代わりに低圧側の端子の一つを接地する方法が認められています。

一端子とは変圧器二次側の端子を指す

ここでいう「一端子」は、変圧器の低圧側巻線から出ている端子のことです。つまり、負荷側の分電盤内にある接続端子ではなく、変圧器二次側電路の始点となる部分を指します。

例えば、単相2線式の変圧器であれば、二次側には2つの端子があります。そのうち片側を接地することで、一線接地方式となります。

重要なのは、接地する場所は電路全体で同じ電位になる点を選ぶ必要があるということです。分電盤内の任意の端子を接地するという意味ではありません。

三相交流の場合の「一端子」の考え方

三相交流では、結線方式によって接地方法が変わります。例えばスター結線(Y結線)の場合は、中性点を作ることができるため、通常はその中性点を接地します。

一方、デルタ結線(Δ結線)の場合は基本的に中性点が存在しません。そのため、接地を行う場合はデルタ巻線の一つの端子を接地する方式が採用されることがあります。

例えば、デルタ結線の三相変圧器では、S相側の端子を接地する方式が用いられる場合があります。ただし、どの端子を接地するかは設備条件や規定によって決まり、単純に必ずS端子というわけではありません。

単相3線式の場合は中性線を接地するのが基本

単相3線式では、通常は中央の中性線(中性点)を接地します。これにより、100Vと200Vの負荷へ安定した電源供給が可能になります。

質問のような「赤相や黒相の端子を接地するのか」という点については、単相3線式で通常そのような接地方法を採用するわけではありません。

単相3線式の場合、接地対象となるのは基本的に中性点です。ただし、中性点を利用できない特殊な変圧器の場合に限り、低圧側の一端子接地という考え方が登場します。

なぜ中性点ではなく一端子接地が認められているのか

電気設備では、安全上の理由から電路の基準となる電位を決める必要があります。中性点接地が最も一般的ですが、すべての変圧器で中性点を利用できるわけではありません。

例えば、デルタ結線変圧器では中性点そのものが存在しません。そのような場合でも、電路を安定させるために一つの端子を接地することで、対地電圧を管理できます。

つまり、この規定は「中性点がないから接地できない」という問題を解決するための例外的な方法として設けられています。

接地位置を判断するときの注意点

実際の設備では、接地する位置を誤ると保護協調が崩れたり、不要な電流経路が発生する可能性があります。そのため、単純に近くの端子を接地するという判断は危険です。

変圧器の結線方式、電圧区分、使用目的、保護装置の構成などを確認した上で、適切な接地箇所を決定する必要があります。

電技解釈の条文を読む際は、「端子」という言葉がどの設備部分を指しているのかを確認することが重要です。

まとめ

電技解釈にある「低圧側の一端子を接地する」という表現は、変圧器二次側の低圧巻線端子のうち一つを接地することを意味します。

これは分電盤内の任意の接続端子を接地するという意味ではなく、変圧器の低圧側電路そのものを基準電位に固定するための方法です。

通常は中性点接地が基本ですが、中性点を利用できないデルタ結線などでは一端子接地が選択される場合があります。設備ごとの結線方式を確認し、適切な接地方法を判断することが重要です。

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