古文の助動詞の識別では、「接続」だけを見ても判断できない場合があります。特に「る・らる」のように未然形に接続する助動詞は、直前の動詞が何形なのかを正確に判断する必要があります。
この記事では、「吉野の山に思ひよそへらる」のような文を例に、動詞の未然形の見分け方や、「る・らる」を識別するときの考え方を分かりやすく解説します。
助動詞「る・らる」はまず接続を確認する
古文の助動詞を判断するときは、最初に接続を確認します。「る・らる」はどちらも未然形接続の助動詞です。
つまり、その直前にある語が未然形であることが分かれば、「る・らる」の可能性を考えることができます。
しかし、ここで注意したいのは、「る・らる」が付いているからといって、その直前の語が必ず四段活用の未然形とは限らないという点です。動詞そのものの活用を判断する必要があります。
「思ひよそへらる」はどこで区切るのか
「吉野の山に思ひよそへらる」は、文節に分けると「思ひよそへ+らる」となります。
この場合、「思ひよそへ」は動詞「思ひよそふ」の未然形です。「思ひよそふ」は下二段活用の動詞で、活用すると以下のようになります。
思ひよそふ
未然形 思ひよそへ
連用形 思ひよそへ
終止形 思ひよそふ
連体形 思ひよそふる
已然形 思ひよそふれ
命令形 思ひよそへよ
そのため、「思ひよそへ+らる」となり、「らる」が接続していることが分かります。
「ず」を付ける方法だけでは判断できない理由
古文動詞の活用を確認する方法として「ず」を付ける方法があります。しかし、この方法を使う時には少し注意が必要です。
例えば「行く」の場合、「行かず」と「行けず」がありますが、「行けず」は「行くことができない」という可能の意味になります。そのため、活用を確認するときの「ず」は、助動詞「ず」を付けた形として自然な否定になる方を見る必要があります。
ただし、すべての動詞で現代語の感覚だけを使って判断すると迷うことがあります。古文では「可能」の意味になるかどうかではなく、その動詞がどの活用をするかを確認することが重要です。
「思ひよそへず」と考えてしまう理由
「思ひよそへず」と考えてしまうのは、「へ」があるために現代語の感覚で「思い寄せることができない」というように考えてしまうからです。
しかし、「思ひよそふ」は「別のものになぞらえる」「関係づけて考える」という意味の動詞です。ここでの「思ひよそへず」は「思ひよそふ」の未然形に否定の助動詞「ず」が付いた形になります。
一方、「思ひよそへらる」は「思ひよそふ」に受身・自発・可能・尊敬の意味を持つ助動詞「らる」が付いた形です。この文章では「自然と思い比べられる」という自発の意味で読むのが適切です。
入試古文で知らない動詞が出た時の対処法
入試では、すべての古文単語を完璧に覚えていなくても、文法知識を使って判断できる問題が多くあります。
知らない動詞が出た場合でも、まず「語尾を見る」「活用表を考える」「助動詞の接続を確認する」という順番で分析すると判断しやすくなります。
例えば「〜へらる」という形を見た場合、「へ」が動詞の一部なのか、それとも助動詞の前の未然形なのかを考えることが重要です。単語の意味だけではなく、文法構造を見る力が必要になります。
古文助動詞識別で大切なのは形と文脈の両方を見ること
古文の識別問題では、単純に「未然形だからこの助動詞」と決めるだけでは不十分です。動詞の活用、助動詞の意味、文章全体の流れを合わせて判断する必要があります。
「る・らる」は特に意味が複数あるため、最後には受身なのか、自発なのか、可能なのか、尊敬なのかを文脈から確認します。
「吉野の山に思ひよそへらる」の場合も、まず「思ひよそふ」という動詞の活用を確認し、その未然形に「らる」が付いていると考えることで正しく識別できます。
まとめ
古文の「る・らる」の識別では、未然形接続という知識だけでなく、直前の動詞が何活用なのかを判断することが重要です。
「思ひよそへらる」は「思ひよそふ」の未然形「思ひよそへ」に助動詞「らる」が付いた形であり、現代語の感覚だけで「思ひよそへず」と判断すると間違いやすくなります。
入試古文では、知らない単語が出ても、活用・接続・敬語・文脈を組み合わせれば解ける問題が多くあります。単語の暗記だけではなく、文法から形を分析する力を身につけることが大切です。


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