内線規程の分岐回路設計で使う電流値は始動電流か定格電流か?許容電流60%ルールを解説

工学

電動機などを接続する分岐回路の設計では、内線規程にある許容電流の考え方や、始動電流と定格電流のどちらを基準にするのかで迷うことがあります。特にモーター負荷では始動時に大きな電流が流れるため、通常運転時の電流だけで判断してよいのか疑問に感じる方も多いでしょう。この記事では、分岐回路の許容電流を決める際の基本的な考え方と、始動電流・定格電流の使い分けについて解説します。

内線規程における分岐回路の許容電流の考え方

内線規程では、分岐回路に接続する負荷に対して、電線や配線用遮断器が安全に使用できるように電流値を考慮します。

モーターなどの電動機負荷では、運転中に流れる定格電流だけでなく、始動時に発生する一時的な大電流についても考慮する必要があります。

ただし、始動電流は短時間だけ流れる電流であり、通常の連続負荷電流とは扱いが異なります。そのため、単純に始動電流だけを基準にして電線サイズを決めるわけではありません。

始動電流と定格電流の違い

定格電流とは、電動機が通常の状態で運転しているときに流れる電流です。例えば、定格電流190Aのモーターであれば、通常運転時にはおおよそ190A程度の電流が流れます。

一方、始動電流とは、モーターを停止状態から回転させ始める瞬間に流れる電流です。モーターは始動直後には逆起電力が発生しないため、大きな電流が流れます。

今回のように始動電流1160A、定格電流190Aという場合、始動時には一時的に1160Aもの電流が流れますが、通常運転では190Aが基準になります。

許容電流60%という基準で使用する電流値

分岐回路の許容電流60%という考え方は、電動機回路などにおいて過負荷や電圧降下などを考慮するための基準です。

この場合に基本となるのは、電動機の定格電流です。つまり、今回の例では190Aを基準として考えます。

始動電流1160Aは、短時間の始動性能や始動方式、保護装置の選定などを検討する際に使用しますが、通常の分岐回路の負荷電流計算では定格電流を用います。

なぜ始動電流1160Aを基準にしないのか

もし始動電流1160Aを基準にして電線や遮断器を選定すると、実際の運転状態に対して過大な設備となってしまいます。

例えば、190Aで連続運転するモーターに対して1160Aを基準に配線を選ぶと、必要以上に太い電線や大容量の機器が必要になり、経済性や施工性が悪くなります。

もちろん、始動時に大きな電流が流れるため、ブレーカーの瞬時動作や電圧降下については別途検討する必要があります。

実際の設計で確認すべきポイント

モーター回路を設計する場合は、定格電流だけでなく、始動方式や始動時間、電源容量なども確認します。

例えば、直入れ始動の大型モーターでは始動電流が非常に大きくなるため、同じ定格電流のモーターでも電源設備への影響が変わります。

そのため、配線設計では「負荷電流は定格電流で判断」「始動時の影響は別途確認」というように目的ごとに電流値を使い分けることが重要です。

まとめ|分岐回路の許容電流計算は基本的に定格電流を使用する

内線規程に基づいて分岐回路の設計を行う場合、電動機負荷の基本となる電流値は定格電流です。

今回のように始動電流1160A、定格電流190Aの場合、許容電流の検討では190Aを基準に考え、始動電流1160Aは始動時の電圧降下や保護装置の検討に利用します。

電気設備設計では、すべての最大値をそのまま使用するのではなく、電流が発生する場面と目的に応じて適切な数値を使い分けることが、安全で合理的な設計につながります。

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