『竹取物語』のくらもちの皇子が、偽物の蓬莱の玉の枝を作らせて持ち帰った場面には、古文特有の表現が多く登場します。特に「竹取の翁、さばかり語らひつるが、さすがに覚えて眠りをり。」という一文は、単語の意味だけでは理解しにくい部分です。この記事では、この一文の現代語訳や文法、物語の流れの中での意味をわかりやすく解説します。
「竹取の翁、さばかり語らひつるが、さすがに覚えて眠りをり。」の現代語訳
この部分の現代語訳は、「竹取の翁は、あれほど(くらもちの皇子と)話をしていたが、やはり(疲れや安心感から)気がゆるんで眠っていた。」となります。
文章の流れとしては、くらもちの皇子が蓬莱の玉の枝を持ち帰ったことで、竹取の翁が本物だと思い込み、皇子と話をしていた場面です。しかし、その後に偽物であることが発覚し、状況が変化していきます。
ここでは、竹取の翁が皇子と長く話をしていたものの、その場ではまだ真実に気付かず、眠っていた様子が描かれています。
古語の意味を分解して理解する
この一文を理解するには、それぞれの古語の意味を確認すると分かりやすくなります。
| 古語 | 意味 |
|---|---|
| さばかり | それほど、その程度、あれほど |
| 語らひつる | 話し合っていた(「語らふ」+完了の助動詞「つ」+連体形) |
| さすがに | そうはいっても、やはり |
| 覚えて | 目が覚めて、気付いて |
| 眠りをり | 眠っている(「眠る」+存続の「をり」) |
特に注意したいのは「覚えて」という部分です。現代語の「覚える」と同じ意味ではなく、古文では「目が覚める」という意味で使われることがあります。
また、「さすがに」は現代語でも使われる表現ですが、古文では「そうはいってもやはり」という意味で、前の内容を受けて少し意外な展開を示す言葉です。
この場面で竹取の翁が眠っていた理由
竹取の翁は、くらもちの皇子が持ってきた蓬莱の玉の枝を見て、本物だと信じていました。そのため、皇子の話を聞きながら安心し、気を許していたと考えられます。
しかし、実際にはその玉の枝は職人に作らせた偽物でした。後から職人たちが現れ、皇子から依頼されて作ったことを話したため、嘘が明らかになります。
つまり、この場面の「眠りをり」は単に寝ているというだけでなく、竹取の翁がまだ真実を知らず、安心しきっている状態を表しています。
くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝の話の流れ
くらもちの皇子は、かぐや姫から「蓬莱の玉の枝」という非常に珍しい宝物を求められます。しかし、本当に蓬莱山へ行くことはできなかったため、職人に命じて偽物の玉の枝を作らせました。
そして完成した偽物を本物のように見せかけ、かぐや姫や竹取の翁に渡そうとします。一時は成功したように見えましたが、玉の枝を作った職人たちが代金を求めて現れたことで嘘がばれてしまいます。
この話は、くらもちの皇子の知恵や行動力だけでなく、見栄や嘘が最後には露見するという教訓も含んでいます。
古文読解で「さすがに」や「覚えて」に注意するポイント
『竹取物語』のような古文では、現代語と同じ形でも意味が異なる単語が多くあります。そのため、知っている言葉でも古語としての意味を確認することが大切です。
例えば「覚ゆ」「覚えて」は、現代語の「記憶する」ではなく、「自然と思われる」「気付く」「目が覚める」などの意味になる場合があります。
また、「さすがに」のような副詞は、文章全体の流れを理解する手がかりになります。単語だけでなく、前後の内容と合わせて読むことで正確な現代語訳ができます。
まとめ|「竹取の翁、さばかり語らひつるが、さすがに覚えて眠りをり。」の意味
「竹取の翁、さばかり語らひつるが、さすがに覚えて眠りをり。」は、「竹取の翁は、あれほど話をしていたが、やはり目が覚めることなく眠っていた」という意味になります。
この場面では、竹取の翁がくらもちの皇子の嘘にまだ気付いておらず、安心している様子が表現されています。
古文を読む際は、「覚えて」「さすがに」など現代語と意味が異なる言葉に注意し、物語全体の流れから意味を判断することが重要です。


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