読書感想文を書くとき、「どう思った?」と聞いても『よかった』『悲しかった』『泣いていたと思った』など短い答えしか返ってこない子どもは少なくありません。特に普段から知識を覚えることが好きな子ほど、物語から感じたことを言葉にすることが苦手な場合があります。この記事では、子どもが感想を言えない理由や、読書感想文を書くために親ができるサポート方法について解説します。
感想を言えないのは感情がないからではない
子どもが『いいと思った』という一言しか言えない場合、必ずしも作品に興味がなかったり、何も感じていなかったりするわけではありません。
大人は読書をすると自然に『主人公はなぜこうしたのか』『自分ならどうするか』『この場面で何を感じたか』と考えることがあります。しかし、小学校低学年から中学年頃の子どもは、感じたことを整理して文章にする力がまだ発達途中です。
例えば、主人公が泣く場面を読んで悲しい気持ちになっていても、その感情を『主人公は寂しかったから泣いた』『自分も同じ経験があったから悲しく感じた』という形で説明することが難しいことがあります。
知識を覚える力と感想を表現する力は別の能力
理科の漫画や豆知識をたくさん話せる子どもでも、読書感想文が苦手なことは珍しくありません。
知識を覚えて説明することは、正解や情報を整理する能力が中心になります。一方で、読書感想文では正解のない自分の気持ちや考えを表現する必要があります。
例えば、『恐竜は約何年前に生きていた』という情報を説明することが得意でも、『恐竜が絶滅したことを知ってどう感じたか』を説明するには、別の思考の練習が必要になります。
子どもが感想を言葉にできない主な理由
読書感想文で苦戦する子どもには、いくつかの共通した理由があります。
一つ目は、自分の気持ちを表す言葉の種類がまだ少ないことです。『悲しい』『楽しい』だけではなく、『かわいそうに感じた』『悔しかった』『安心した』など細かな感情を使う経験が少ないと、文章にすることが難しくなります。
二つ目は、物語を読むときに出来事だけを追っている場合です。『主人公が泣いた』という事実は理解できても、『なぜ泣いたのか』『その時どんな気持ちだったのか』まで考える習慣がまだ身についていないことがあります。
三つ目は、間違った答えを書いてはいけないと思っている可能性です。感想には正解がありませんが、学校の勉強に慣れている子ほど『先生が求める答えを書かなければいけない』と考えてしまうことがあります。
読書感想文を書くために親ができる質問の工夫
『どう思った?』という質問は、一見簡単ですが、子どもにとっては答える範囲が広すぎることがあります。
代わりに、『主人公が泣いた時、自分だったらどう思う?』『もし主人公の友達だったら何と言う?』『一番印象に残った場面はどこ?』など、具体的な質問に変えると答えやすくなります。
例えば、『主人公が泣いていたね。悲しかったのかな?それとも悔しかったのかな?』のように選択肢を出すと、自分の考えを話すきっかけになります。
親が感想文を手伝う時に注意したいこと
読書感想文では、文章を完成させることよりも、子ども自身が感じたことを引き出すことが大切です。
親が内容を考えて文章にしてしまうと、きれいな感想文にはなっても、子どもの考える力や表現する力を伸ばす機会が減ってしまいます。
例えば、『この場面ではこう書いたら?』と答えを示すより、『あなたはこの時どう感じた?』『その理由は何?』と聞きながら、子どもの言葉をメモして文章化する方が効果的です。
読書感想文が苦手な子どもへの長期的なサポート方法
感想を表現する力は、日常生活の中でも少しずつ育てることができます。
本を読んだ後だけでなく、映画やテレビを見た後、遊んだ後などに『どこが面白かった?』『どうしてそう思った?』と話す習慣を作ると、自分の考えを説明する練習になります。
また、子どもの答えが短くても否定しないことが大切です。『それだけ?』と言われると、さらに自分の気持ちを話しにくくなります。短い感想でも、『そう感じたんだね。どうしてそう思ったの?』と広げてあげることで表現力は伸びていきます。
まとめ:感想が出ない子どもには考える時間と言葉のサポートが必要
読書感想文で『いいと思った』しか言えない子どもは、感情がないわけでも、本を理解していないわけでもありません。感じたことを整理して言葉にする力が、まだ成長途中である場合が多いです。
知識を覚える力と、自分の気持ちを表現する力は別の能力です。そのため、理科の知識をたくさん話せる子が感想文で苦戦することも自然なことです。
親ができることは、答えを与えることではなく、子どもの中にある小さな感想を見つけて広げることです。日々の会話の中で『なぜそう思ったのか』を考える習慣を作ることで、少しずつ自分の気持ちを文章にできるようになります。


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