フランス語を学習していると、enfuirとs’enfuirのように、同じ動詞にseが付くことで意味が大きく変わる表現に出会います。特に再帰動詞は日本語にはない考え方のため、「seが付く前の動詞にはどんな意味があるのか」「すべて自分自身に対する動作として考えるべきなのか」と疑問に感じる人も多いです。
この記事では、enfuirとs’enfuirの違いを中心に、フランス語の再帰動詞をどのように理解すればよいのかを具体例を交えながら解説します。
enfuir単独ではほとんど使われない理由
結論から言うと、現代フランス語ではenfuirという動詞を単独で使うことは非常に少なく、基本的にはs’enfuirという形で使われます。
s’enfuirは「逃げる」「逃走する」という意味で、日常会話や文章でもよく登場する表現です。
例えば、以下のように使います。
Il s’est enfui de la prison.
「彼は刑務所から逃げた」
Le voleur s’est enfui.
「泥棒は逃げた」
このように、誰かが自分の意思でその場所から離れる場合にs’enfuirを使います。
enfuirは本当に「逃す」という意味なのか
「se enfuirだから、自分を逃す=逃げるという意味になるのでは」と考えるのは自然な疑問です。しかし、フランス語の再帰動詞は必ずしも日本語の「自分自身に何かをする」という形で直訳できるわけではありません。
歴史的にはenfuirには「隠す」「追いやる」「逃げ込ませる」といった意味がありました。しかし現在では、単独のenfuirはほぼ廃れており、s’enfuirという再帰形が一つの独立した動詞のように扱われています。
つまり、現代フランス語ではs’enfuir=逃げるという一つの表現として覚える方が自然です。
フランス語の再帰動詞はすべて「自分を〜する」と考えてよいのか
フランス語の再帰動詞を見ると、「se laver(自分を洗う)」「se regarder(自分を見る)」のように、日本語でも「自分自身に対する動作」と考えられるものがあります。
例えば以下のような表現です。
Je me lave.
「私は自分を洗う=私は体を洗う」
Elle se regarde dans le miroir.
「彼女は鏡で自分を見る」
しかし、すべての再帰動詞を「自分を〜する」と考えると理解できない表現も多くあります。
再帰動詞にはいくつか種類がある
フランス語の再帰動詞には、大きく分けて複数のタイプがあります。
1. 文字通り自分自身に行う動作
これは最も理解しやすいタイプです。
se laver(自分を洗う)
se raser(自分のひげをそる)
s’habiller(自分に服を着せる→服を着る)
2. 相互動作
複数の人がお互いに行う動作を表します。
Ils se parlent.
「彼らはお互いに話す」
Ils se rencontrent.
「彼らは出会う」
3. 再帰形で意味が変化する動詞
seが付くことで、単なる動作ではなく別の意味になるものがあります。
例えば以下です。
rappeler=思い出させる
se rappeler=思い出す
apercevoir=見つける
s’apercevoir=気づく
enfuir / s’enfuirも、このタイプに近いと考えると理解しやすいです。
s’enfuirは「自分を逃がす」ではなく「逃げる」という単語として覚える
外国語を学ぶ際、すべての表現を母語の構造に当てはめようとすると混乱することがあります。
例えば英語でも「take place」は直訳すると「場所を取る」ですが、実際には「起こる」という意味です。フランス語の再帰動詞にも同じように、形から想像するだけでは意味が分からないものがあります。
s’enfuirについても、「se+enfuir」と分解して考えるより、「逃げる」という意味を持つ一つの動詞表現として覚える方が実用的です。
再帰動詞を覚えるときの効果的な方法
再帰動詞を学ぶときは、seを単純に「自分」と訳すのではなく、その動詞がどのような意味で使われているかを確認することが大切です。
おすすめの覚え方は、原形ではなく例文ごと覚える方法です。
例えば、s’enfuir=逃げるとして覚え、次のような文章をセットで暗記します。
Le chat s’est enfui par la fenêtre.
「猫は窓から逃げていった」
このように実際の使われ方を覚えることで、再帰動詞への苦手意識は減っていきます。
まとめ|enfuirとs’enfuirは別物として理解するのが自然
enfuirは現代フランス語では単独で使われることが少なく、基本的にはs’enfuirという形で「逃げる」という意味になります。
「自分を逃す」という直訳的な考え方は、再帰動詞を理解する上で必ずしも正しくありません。フランス語では、seが付くことで新しい意味を持つ動詞も多く存在します。
再帰動詞はすべて同じルールで考えるのではなく、「自分自身への動作」「相互動作」「再帰形独自の意味」の3種類を意識すると、より自然に理解できるようになります。


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