Raspberry Pi PicoでUSB HIDデバイスなどを作成していると、PCとのUSB接続を切断した後も動作を継続させたい場面があります。その場合、USBからの5V供給と外部電源からの給電をどのように両立させるかが重要になります。
この記事では、Raspberry Pi PicoのVSYS端子への外部給電方法、ショットキーバリアダイオードを使った電源分離の考え方、USBとACアダプターを同時接続する際の注意点について解説します。
Raspberry Pi Picoの電源構成を理解する
Raspberry Pi Picoには、USB端子から供給される5V電源と、基板上のVSYS端子から供給できる外部電源があります。VSYSはPico内部の電源回路へ入力される端子で、一般的には1.8V~5.5V程度の電圧を入力できます。
USB接続時は、PCのUSBポートから5Vが供給され、Pico内部の電源回路によって必要な電圧が生成されます。一方、USBを抜いた状態でもVSYSへ外部電源を接続すれば、Pico単体で動作できます。
そのため、USB通信はPCと行いながら、動作用電源はACアダプターなどから供給する構成にすることが可能です。
USBと外部電源を同時接続しても問題ないのか
Raspberry Pi Picoでは、USBの5VラインとVSYS入力は基板上で電源管理される構造になっています。そのため、正しい接続方法であればUSB接続と外部給電を同時に行うことができます。
ただし、注意すべきなのは異なる電源同士を直接接続しないことです。例えばUSBの5VとACアダプターの5Vを何も考えずに接続すると、電圧差によって電流が逆流する可能性があります。
逆流が発生すると、PCのUSBポートやACアダプター、Picoの電源回路に負担がかかり、故障の原因になる場合があります。
ショットキーバリアダイオードを入れる方法について
ACアダプターとVSYSの間にショットキーバリアダイオードを入れる方法は、電源の逆流防止対策として一般的な方法の一つです。
例えば、ACアダプターのプラス側をショットキーダイオードのアノード側へ接続し、カソード側をPicoのVSYSへ接続します。この向きならACアダプターからPicoへ電流を流しつつ、Pico側からACアダプター側への逆流を防げます。
この構成では、USB接続時はUSBからの電源とVSYS側の電源が競合しにくくなり、PCとの通信を維持しながら外部電源で動作させることができます。
ショットキーダイオード使用時のデメリット
ショットキーバリアダイオードには順方向電圧降下があります。一般的には約0.2V~0.5V程度の電圧低下が発生します。
例えば5VのACアダプターを使用した場合、ダイオード通過後は約4.6V~4.8V程度になる可能性があります。PicoのVSYS入力範囲内であれば動作しますが、接続する周辺機器によっては電圧低下が問題になることがあります。
USB機器やセンサーなど消費電流が大きい回路を接続する場合は、ダイオードの電流容量や発熱も確認する必要があります。
より安全な電源切り替え方法
単純なショットキーダイオードによるOR接続以外にも、理想ダイオードICやロードスイッチICを利用する方法があります。これらはダイオードより電圧降下が小さく、効率的な電源切り替えが可能です。
例えばUSB接続時はPCから給電し、USBを抜いた瞬間にACアダプター側へ切り替えるような用途では、電源切替ICを使うことで安定した動作を実現できます。
ただし、Raspberry Pi Pico単体のUSB HIDデバイス程度であれば、消費電力が小さいため、適切なショットキーダイオードによる電源分離でも十分対応できる場合が多いです。
USB HIDデバイスでおすすめされる構成例
PC接続中も動作し、PCから切断されても継続動作させたい場合は、以下のような構成が一般的です。
| 接続部分 | 構成 |
|---|---|
| USB端子 | PCと通信・USB電源供給 |
| VSYS | ショットキーダイオード経由でACアダプター接続 |
| GND | PC・ACアダプター・Picoで共通化 |
このようにすると、USB通信は維持しながら、Picoの動作電源を外部電源から確保できます。
ただし、USBケーブルを接続したまま外部電源を接続する場合は、必ず電源の向きや逆流防止を確認することが重要です。
まとめ:ショットキーダイオードによるVSYS給電は可能だが電源設計が重要
Raspberry Pi PicoでUSB HIDデバイスを作成し、PCから切断された後も動作させたい場合、ACアダプターからVSYSへ給電する方法は有効です。
ACアダプターとVSYSの間にショットキーバリアダイオードを入れることで逆流を防止でき、USB接続と外部給電を同時に利用できます。
ただし、電圧降下や電流容量には注意が必要です。低消費電力の用途ではショットキーダイオード方式で十分ですが、安定性や効率を重視する場合は理想ダイオードICなどを利用すると、より安全な電源設計になります。


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