全微分方程式は、微分方程式の中でも「ある関数の微小な変化」を表す重要な形式です。しかし、与えられた式が本当にある関数の全微分として表せるのか、また解をどのように求めるのかは初めて学ぶと分かりにくい部分です。
この記事では、全微分方程式の積分可能性の条件を確認しながら、dz=(1+yz)/(1+xy)dx+x(z-x)/(1+xy)dyという形の方程式を例に、解の存在条件や初期条件を使った解法の流れを解説します。
全微分方程式とは何か
3変数x,y,zを含む関係式で、zがx,yの関数として存在するとき、その微小変化は
dz=∂z/∂x dx+∂z/∂y dy
のように表されます。
一般的な全微分方程式は、
P(x,y,z)dx+Q(x,y,z)dy+R(x,y,z)dz=0
という形で表されます。この式がある関数F(x,y,z)の微分
dF=0
として表せるとき、その方程式は積分可能であるといいます。
積分可能性を調べるための条件
全微分方程式が解を持つためには、係数の間に一定の条件が必要です。
式を
dz=A(x,y,z)dx+B(x,y,z)dy
と書くと、zの全微分であるためには、
∂A/∂y+ B∂A/∂z = ∂B/∂x + A∂B/∂z
という積分可能条件を満たす必要があります。
これは、x方向とy方向から変化を調べた場合に、同じ結果になる必要があるという意味です。
与えられた全微分方程式を整理する
与えられた式は、
dz=(1+yz)/(1+xy)dx+x(z-x)/(1+xy)dy
です。
ここで、
A=(1+yz)/(1+xy)
B=x(z-x)/(1+xy)
と置きます。
このとき積分可能条件を確認します。
積分可能条件の計算
Aについてyで偏微分すると、
∂A/∂y={(z)(1+xy)-x(1+yz)}/{(1+xy)²}
整理すると、
∂A/∂y=(z-x)/(1+xy)²
となります。
また、
∂A/∂z=y/(1+xy)
です。
Bについてxで偏微分すると、
B=x(z-x)/(1+xy)
より、商の微分を用いて計算します。
計算すると、
∂B/∂x=(z-2x-x²y)/(1+xy)²
となります。
さらに、
∂B/∂z=x/(1+xy)
です。
したがって、積分可能条件の左辺と右辺を比較すると一致し、与えられた方程式は積分可能であることが分かります。
解を求めるための考え方
積分可能である場合、式はある関数F(x,y,z)=Cの形に積分できます。
今回の式では、
dz-A dx-B dy=0
と変形して、
dz-(1+yz)/(1+xy)dx-x(z-x)/(1+xy)dy=0
を考えます。
この形から、適切な積分因子や変数変換を利用して保存量を求めます。
整理すると、
(1+xy)dz-(1+yz)dx-x(z-x)dy=0
となります。
この式は、
d(x+yz)=dx+y dz+z dy
や
d(xz)=x dz+z dx
のような微分公式との関係を調べることで、隠れた全微分の形を見つけることができます。
初期条件を使った解の決定
全微分方程式を積分すると、一般的には
F(x,y,z)=C
という形の解が得られます。
初期条件としてx=x0、y=y0のときz=z0が与えられている場合は、この条件を代入して定数Cを決定します。
つまり、
C=F(x0,y0,z0)
となり、求めた関数関係式が初期条件を満たす唯一の解になります。
全微分方程式を解くときのポイント
全微分方程式では、最初から積分を始めるのではなく、まず本当に解が存在するかを確認することが重要です。
積分可能条件を確認することで、途中で矛盾する式を扱うことを防ぐことができます。
また、式の中にx,y,zの組み合わせが見えた場合は、それを微分した形を考えると、複雑な式でも簡単な保存量を見つけられる場合があります。
まとめ|全微分方程式は積分可能性の確認から始める
全微分方程式を解く場合、まず重要なのは「その式が本当にある関数の微分として表せるか」を調べることです。
積分可能条件を満たしていれば、F(x,y,z)=Cという形の解を求めることができ、初期条件を使って具体的な解を決定できます。
全微分方程式は複雑に見えますが、偏微分の関係や微分公式を利用して整理することで、隠れた関係式を見つけることができます。


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