ヘンリーの法則で使う圧力は分圧だけ?気体の溶解量と分圧の関係をわかりやすく解説

化学

気体の溶解度を考えるときに登場するヘンリーの法則では、「圧力はどの圧力を使うのか」という点で混乱しやすい部分があります。特に複数の気体が混ざった混合気体の場合、全体の圧力を使うのか、それとも溶ける気体だけの圧力を見るのかを理解することが重要です。

この記事では、ヘンリーの法則における圧力の考え方、分圧を使う理由、具体的な計算例について詳しく解説します。

ヘンリーの法則では溶解する気体の分圧を考える

ヘンリーの法則は、「一定温度で、液体に溶ける気体の量は、その気体の圧力に比例する」という法則です。

式で表すと、溶解量をc、気体の圧力をPとした場合、次のようになります。

c = kP

ここで重要なのは、このPが「気体全体の圧力」ではなく、「液体に溶けようとしている気体自身の分圧」であるという点です。

例えば、空気中の酸素が水に溶ける場合、水に溶ける酸素の量は空気全体の圧力ではなく、酸素が持つ分圧によって決まります。

なぜ全圧ではなく分圧を使うのか

気体の混合物では、それぞれの気体が独立して圧力を持っています。この、それぞれの気体が担当している圧力を分圧といいます。

例えば、酸素と窒素が混ざった空気を考えます。全体の圧力が1気圧であっても、水に溶ける酸素の量は1気圧ではなく、酸素分圧によって決まります。

空気中では酸素は約21%含まれているため、全圧が1気圧の場合、酸素の分圧は約0.21気圧になります。そのため、水に溶ける酸素量も0.21気圧分の圧力に対応します。

混合気体でのヘンリーの法則の使い方

混合気体の場合は、溶解させたい気体ごとに分圧を求めてからヘンリーの法則を適用します。

例えば、酸素と窒素が混ざった気体を水に接触させた場合、酸素の溶解量を求めるなら酸素の分圧を使い、窒素の溶解量を求めるなら窒素の分圧を使います。

それぞれの気体について、以下のように考えます。

酸素の溶解量 = 酸素のヘンリー定数 × 酸素の分圧

窒素の溶解量 = 窒素のヘンリー定数 × 窒素の分圧

つまり、混合気体全体の圧力をそのまま代入することは基本的にありません。

全圧を使う場合はどんなときか

全圧を使うように見える問題もありますが、それは気体が単一成分の場合です。

例えば、容器内に純粋な二酸化炭素だけが入っている場合、二酸化炭素の分圧は全圧と同じになります。

この場合は、全圧を使って計算しても結果的には正しい答えになります。しかし、これは二酸化炭素以外の気体が存在しないため、分圧と全圧が一致しているだけです。

混合気体になった瞬間に、全圧ではなく対象となる気体の分圧を見る必要があります。

ヘンリーの法則の計算で間違えやすいポイント

高校化学では、ヘンリーの法則の問題で「圧力」という言葉だけが出てくることがあります。その場合、その圧力が何を意味するのかを確認することが大切です。

特に、空気中の酸素や二酸化炭素などについて問われている場合は、ほとんどの場合で分圧を求める必要があります。

例えば、全圧が5気圧の空気中で酸素の溶解量を求める場合、酸素分圧が5気圧ではありません。酸素の割合が20%なら、酸素分圧は1気圧になります。

まとめ|ヘンリーの法則では溶ける気体自身の分圧を使う

ヘンリーの法則で使用する圧力は、基本的に液体へ溶解する気体の分圧です。

単一の気体だけの場合は全圧と分圧が同じになるため全圧を使えますが、複数の気体が混ざっている場合は必ず対象となる気体の分圧を考えます。

「どの気体が溶けるのか」を確認し、その気体だけが持つ圧力を求めることが、ヘンリーの法則を正しく使うポイントです。

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