高圧受電設備を点検していると、ケーブルヘッド(高圧ケーブル端末部)に巻かれていた黒色の絶縁テープが、以前より白っぽく見えることがあります。高圧部分だけに、単なる汚れなのか、それとも絶縁性能に関係する劣化なのかは慎重に判断する必要があります。
特に重要なのは、「白くなった=直ちに絶縁不良」「外観だけ問題なければ大丈夫」のどちらとも一概には判断できないことです。高圧ケーブルや端末部では、熱、紫外線、水分、汚損、部分放電、施工状態など複数の要因を考える必要があります。ここでは、ケーブルヘッド周辺の絶縁テープが白く見える場合に考えられる原因と確認ポイントを解説します。
高圧ケーブル端末部の黒色テープには意味がある
高圧CVケーブルなどの端末処理では、単に見栄えを整える目的だけでテープが使用されているわけではありません。使用する端末材料や施工方法によって役割は異なりますが、絶縁、防水、保護、電界処理などを考慮した端末処理が行われます。
例えばSWCCは、ポリエチレンや架橋ポリエチレンの端末処理について、絶縁体を露出したままにすると紫外線劣化などが起こり、漏電や感電などの原因となるため、黒色絶縁テープを巻くなどの処理が必要と案内しています。[参照]
したがって、もともと黒かった端末部が明らかに白く変化している場合には、「色だけの問題」と決めつけず、何が白くなっているのかを確認することが大切です。
黒色の絶縁テープが白く見える主な原因
白色化には複数の可能性があります。まず考えられるのが、テープ表面そのものの経年変化です。長期間使用された樹脂・ゴム系材料は、熱、光、酸素などの影響によって表面状態や機械的性質が変化することがあります。
日本電気技術者協会の解説でも、CVケーブルを構成する架橋ポリエチレン、ビニル、ポリエチレンなどの高分子材料は、長期間高温にさらされることで引張強さや伸びが低下し、劣化が著しい場合には絶縁性能が低下することが説明されています。[参照]
また、白く見えているものがテープ自体ではなく、表面に付着した粉じん、塩分などの汚損物である可能性もあります。屋外設備や湿気・ほこりの多い環境では、表面状態だけを見て原因を特定することは困難です。
注意したいのは白化と同時に別の異常がないか
白色化だけで絶縁性能の良否を判断するより、周辺にほかの異常が発生していないかを見ることが重要です。例えば、ひび割れ、硬化、収縮、テープの浮きや剥離、変形、焦げ、異臭、異常発熱、放電痕などが認められる場合には注意が必要です。
高圧CVケーブルには、電気的劣化、水トリー劣化、化学的劣化、熱的劣化、トラッキング劣化、機械的要因による劣化などがあります。日本電気技術者協会では、劣化を評価する特性として漏れ電流や誘電緩和、部分放電だけでなく、外観・形状の変化も挙げています。[参照]
例えば「以前は均一な黒色だったのに、特定部分だけ白くなり、その周辺に亀裂や変形もある」というケースと、「表面全体に薄い粉状の付着物がある」というケースでは、考えるべき原因が異なります。白色という情報だけではなく、変化の位置、範囲、進行状況を記録することが有効です。
見た目だけで「そのままで大丈夫」と判断しない
高圧設備では、外観上の変色だけから絶縁性能を断定することは適切ではありません。反対に、外観がきれいだから絶縁性能にも問題がないとも限りません。
高圧設備の絶縁状態については、設備の種類や状態に応じた点検・測定を組み合わせて評価します。日本電気技術者協会も、高圧・特別高圧では高い絶縁抵抗が必ずしも高い耐電圧を意味するものではないことを解説しています。[参照]
そのため、白化が確認された場合には、前回点検時の写真との比較、施工時期、ケーブル・端末材料のメーカーと型式、使用環境、温度、絶縁診断結果などを合わせて判断するのが合理的です。
高圧設備なので自分でテープを剥がして確認しない
ケーブルヘッドは高圧受電設備の重要部分です。変色の原因を確認するために、知識や資格、適切な停電措置なしでテープを剥がしたり、触れたりするのは避けるべきです。端末処理は施工状態そのものが絶縁性能に影響するため、不用意に手を加えることで状態を悪化させる可能性もあります。
設備管理者であれば、まず電気主任技術者や保安管理業務を担当している技術者、施工業者などに現物を確認してもらうことが重要です。必要に応じて端末材料メーカーの施工要領や交換基準も確認します。
特に白化だけでなく、焦げ、異臭、放電音、著しい発熱、亀裂、絶縁物の変形などが確認される場合には、通常の経年変化と自己判断せず、設備を管理する専門技術者へ速やかに連絡する必要があります。
点検時に確認しておきたいポイント
専門技術者による点検では、白くなった部分だけではなく、端末部全体と周囲の状態を確認することが大切です。設備によって点検方法は異なりますが、次のような情報を整理しておくと原因究明に役立ちます。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 変色範囲 | 全面なのか局所的なのか、三相で差があるか |
| 表面状態 | 亀裂、浮き、剥離、硬化、汚損などがないか |
| 熱の影響 | 異常発熱や熱による変形の兆候がないか |
| 放電の兆候 | 放電痕、異音、異臭などがないか |
| 使用環境 | 屋内・屋外、湿気、ほこり、薬品、紫外線などの影響 |
| 経年変化 | 施工年、前回点検時との変化、変色の進行速度 |
定期的に同じ角度から写真を撮っておくと、「以前から同じ状態なのか」「数か月で急速に白くなったのか」を比較できます。外観変化を時系列で記録することは、保守判断の有用な材料になります。
まとめ|ケーブルヘッドの白化は原因を確認して判断する
高圧受電設備のケーブルヘッド周辺で黒色の絶縁テープが白色に変化した場合、表面材料の経年変化や熱・紫外線などの影響、表面への汚損物の付着など複数の可能性が考えられます。
重要なのは、白くなったという外観だけで「危険」「問題なし」のどちらにも断定しないことです。亀裂、硬化、剥離、異常発熱、放電痕などの有無や、設備の使用年数、施工状態、必要な絶縁診断などを含めて総合的に評価します。
高圧設備は感電や設備事故につながる危険があるため、自分でテープを剥がして確認するのではなく、電気主任技術者など設備を管理する専門技術者に現物を確認してもらい、必要に応じて補修・端末処理のやり直しや交換を検討することが適切です。


コメント