ヘンリーの法則と気体の状態方程式の違い|溶解した気体の物質量の求め方を解説

化学

水に溶けた気体の量を求める問題では、気体の状態方程式PV=nRTを使いたくなることがあります。しかし、気体が水中に溶解している場合は、気体の状態方程式をそのまま適用できるとは限りません。

この記事では、ヘンリーの法則によって求めた溶解量から物質量を計算する方法と、なぜ気体の状態方程式では正しい答えにならないのかを詳しく解説します。

水に溶けた気体に気体の状態方程式を使えない理由

気体の状態方程式PV=nRTは、気体として存在している物質について成り立つ式です。つまり、圧力P、体積V、温度Tを持つ「気体の状態」の物質量を求めるために使います。

一方、水に溶けた窒素は、水分子の間に取り込まれた状態になっています。そのため、溶けた窒素は気体として0.12Lの空間を占めているわけではありません。

今回の問題で示されている0.12Lという体積は、「もし溶けた窒素を同じ温度・圧力の気体として取り出した場合の体積」です。この値を使って物質量を求める場合は、気体に戻した状態として考えます。

ヘンリーの法則から窒素の溶解量を求める

ヘンリーの法則では、一定温度では気体の溶解量は気体の圧力に比例します。今回の条件では、0℃、1.0×105Paのとき、水1mLに窒素が0.024mL溶けるとされています。

水の量は5.0Lなので、まずmLに変換すると5000mLになります。

溶ける窒素の体積は、5000mL×0.024mL÷1mLで求められます。

計算すると、5000×0.024=120mLとなり、これは0.12Lです。

溶けた窒素を気体として考えて物質量を求める

ここで初めて気体の状態方程式を利用できます。重要なのは、水中の窒素そのものに適用するのではなく、「取り出した窒素気体の体積」として考えることです。

気体の状態方程式はPV=nRTなので、数値を代入します。

P=1.0×105Pa、V=0.12L=1.2×10-4m3、R=8.31J/(mol・K)、T=273Kを使います。

したがって、n=(PV)/(RT)となります。

n={(1.0×105)×(1.2×10-4)}/{(8.31×273)}

計算すると、n≈5.3×10-3molとなります。

この値が溶けた窒素の物質量になります。

計算で間違えやすいポイント

質問の計算では、0.12Lをそのまま気体の体積として扱っていますが、単位変換が必要です。気体の状態方程式では、圧力をPaで表す場合、体積はm3でそろえる必要があります。

1Lは10-3m3なので、0.12Lは1.2×10-4m3です。

また、そもそも水に溶けた状態の窒素にPV=nRTを直接当てはめることができない点も重要です。溶解量から気体換算した体積が与えられている場合に限って、気体の状態方程式を利用します。

ヘンリーの法則と気体の状態方程式の使い分け

化学計算では、どの法則を使うべきかを判断することが重要です。ヘンリーの法則は「気体が液体にどれだけ溶けるか」を求めるための法則です。

一方、気体の状態方程式は「気体の状態にある物質の量」を求めるための式です。

例えば、二酸化炭素や酸素が水に溶ける量を求める問題では、まずヘンリーの法則で溶解量を求め、その後必要に応じて気体換算して物質量を求める流れになります。

まとめ|溶解した気体はそのままではなく気体換算して考える

水に溶けた窒素の物質量を求める場合、溶けた窒素は水中に存在しているため、直接気体の状態方程式を適用することはできません。

まずヘンリーの法則によって溶解した窒素の量を求め、その窒素を同温同圧の気体として考えた場合の体積を使ってPV=nRTを利用します。

化学の計算では、与えられた数値だけを見るのではなく、その物質が現在どの状態にあるのかを確認してから適切な公式を選ぶことが大切です。

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