古文の助動詞「む」は、意思・推量・勧誘・適当・婉曲・仮定など複数の意味を持つため、判別に迷いやすい助動詞の一つです。「文中なら婉曲や仮定、文末なら意思や推量」と覚えている人も多いですが、実際には文中の位置だけで決めることはできません。
この記事では、「食わむとす」の「む」がなぜ文中にあるのに意思になるのか、助動詞「む」の正しい見分け方を例文とともに解説します。
助動詞「む」の基本的な意味
古文の助動詞「む」は、主に次の6つの意味があります。
| 意味 | 現代語訳 |
|---|---|
| 意思 | 〜しよう |
| 推量 | 〜だろう |
| 勧誘 | 〜しよう、〜するとよい |
| 適当 | 〜するのがよい |
| 婉曲 | 〜ような |
| 仮定 | もし〜なら |
このように多くの意味を持つため、単純に「文中だから婉曲」「文末だから意思」と判断すると間違えることがあります。
「文中なら婉曲・仮定」という覚え方が危険な理由
確かに、名詞を修飾する位置にある「む」は婉曲になることが多いです。例えば「知らむ人」という表現では、「知っているような人」という意味になり、名詞を説明しているため婉曲と判断できます。
しかし、「む」の意味は文中か文末かではなく、主語や文脈、後ろに続く表現によって決まります。
例えば、「我、都へ帰らむと思ふ」という文では、「帰らむ」は文中にありますが、「帰ろうと思う」という意思を表しています。このように、「む」の後ろに「思ふ」「願ふ」など意思を表す動詞が続く場合は意思になることが多いです。
「食わむとす」の「む」が意思になる理由
「食わむとす」の「む」は、文中にあるため迷いやすいですが、意味は「食べようとする」です。
この場合、「むとす」という形に注目します。「〜むとす」は「〜しようと思う」「〜しようとする」という意味を表す決まった表現であり、「む」は話し手や動作主の意思を示しています。
つまり、「食わむとす」は「食べるだろうとする」ではなく、「食べようとする」という意味になります。そのため、「む」は意思と判断されます。
助動詞「む」の意味を判断するポイント
助動詞「む」を見分ける時は、まず主語が誰なのかを確認することが大切です。
第一人称(自分)が主語の場合は意思になることが多く、第三人称(他人)が主語の場合は推量になることが多いです。
例えば「我行かむ」は「私は行こう」という意思ですが、「彼は行かむ」は「彼は行くだろう」という推量になります。
後ろの言葉にも注目する
「む」の後ろに「とす」「と思ふ」などが続く場合は意思になる可能性が高くなります。
例として「帰らむと思ふ」は「帰ろうと思う」という意味です。この場合、「帰る」という行動を自分が実行しようとしているため、意思の意味になります。
婉曲になる「む」と意思になる「む」の違い
婉曲の「む」は、主に名詞を修飾する場合に使われます。
例:「秋来む頃」
意味:「秋が来るような頃」
一方、意思の「む」は、動作主が自分の行動を決めたり、実行しようとしたりする場合に使われます。
例:「旅に出でむ」
意味:「旅に出よう」
同じ「む」でも、後ろに続く語や文全体の意味を見ることで判断できます。
まとめ|助動詞「む」は位置ではなく意味と文脈で判断する
助動詞「む」は「文中なら婉曲や仮定、文末なら意思や推量」と単純に分類することはできません。文中にあっても、「食わむとす」のように意思を表す場合があります。
「食わむとす」は「食べようとする」という意味で、「むとす」という表現全体が意思を表すため、「む」は意思になります。
古文の助動詞を正確に見分けるには、位置だけではなく、主語・後ろに続く言葉・文章全体の意味を確認することが重要です。


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