プレス加工の現場では「プログレ(プログレッシブ加工)」や「タンデム」という言葉が使われますが、これらが金型の種類なのか、プレス機そのものの種類なのか分かりにくいことがあります。この記事では、プレス加工におけるプログレとタンデムの意味、金型とプレス機の関係、それぞれの特徴について詳しく解説します。
プレス加工におけるプログレとタンデムの意味
プレス加工で使われる「プログレ」とは、一般的に「プログレッシブ加工(順送加工)」を指します。これは、一つの金型の中に複数の加工工程を組み込んだ加工方法です。
一方、「タンデム」とは、複数のプレス機を直列に配置し、それぞれの工程を別々の金型で行う加工方式を指します。つまり、プログレとタンデムは主に加工方法や金型の使い方を表す言葉です。
そのため、単純に「プログレ用プレス機」「タンデム用プレス機」と完全に分かれているわけではありません。ただし、加工方式に適したプレス機の仕様や設備構成は存在します。
プログレッシブ加工(順送加工)の特徴
プログレッシブ加工では、帯状の金属材料(コイル材)を金型内へ連続的に送り込み、1つの金型内で穴あけ、曲げ、絞り、切断など複数の加工を順番に行います。
例えば、小さな電子部品の端子を製造する場合、材料を送りながら「穴を開ける」「形を整える」「切り離す」といった工程を一つの金型で連続処理できます。
この方式のメリットは、高速・大量生産に向いていることです。一方で、金型構造が複雑になるため、設計や製作には高度な技術が必要になります。
タンデム加工の特徴
タンデム加工では、複数台のプレス機を並べ、それぞれのプレス機に異なる金型を取り付けて加工します。
例えば、自動車部品の大型パネル加工では、1台目のプレス機で成形、2台目で穴あけ、3台目で仕上げ加工というように、工程ごとに設備を分けて加工する場合があります。
タンデム方式は、大型部品や加工工程ごとの調整が必要な製品に適しています。各工程を独立して管理できるため、柔軟な生産が可能です。
プログレ用・タンデム用のプレス機は存在するのか
プレス機自体は、加工方式に合わせた仕様の違いはありますが、「プログレ専用機」「タンデム専用機」と完全に分類されるわけではありません。
プログレッシブ加工では、材料を正確に送るためのフィーダー装置や、高速連続加工に耐えられる剛性・精度を持ったプレス機が求められます。
一方、タンデム加工では、大型金型を取り付けられる作業スペースや、複数工程を連携させる搬送設備などが重要になります。
つまり、プレス機は加工方式に適した性能を持つものが選ばれますが、プログレやタンデムという名称は基本的には加工システムや金型運用方法を表すものと考えると分かりやすいです。
金型とプレス機の関係
プレス加工では、金型とプレス機はセットで考える必要があります。金型が加工内容を決め、プレス機がその金型を動かす力や動作を提供します。
例えば、同じプレス機でも、取り付ける金型を変更すれば、穴あけ加工や曲げ加工など異なる製品を作ることができます。
ただし、金型の大きさや必要な加工力によって使用できるプレス機には制限があります。そのため、現場では金型設計の段階から適切なプレス機を選定します。
プログレとタンデムを選ぶ基準
どちらの加工方式を採用するかは、製品の大きさ、形状、生産数量、加工内容などによって決まります。
大量生産する小型部品では、加工速度の高いプログレッシブ加工が向いています。一方、大型部品や工程ごとの調整が必要な製品ではタンデム加工が選ばれることがあります。
例えば、自動車の小型ブラケットのような部品はプログレ加工、大型のドアパネルのような部品はタンデム加工が適している場合があります。
まとめ
プレス加工におけるプログレとタンデムは、基本的には金型の使い方や加工方式を表す言葉であり、プレス機そのものを分類する名称ではありません。
プログレッシブ加工は一つの金型内で複数工程を連続的に行う方式、タンデム加工は複数のプレス機と金型で工程を分けて行う方式です。
ただし、それぞれの加工方式に適したプレス機の性能や設備構成は存在します。金型とプレス機の役割を理解すると、プレス加工の仕組みをより正確に理解できます。


コメント