係り結びの省略は数える?「~にこそ」の見分け方と助動詞で結ばれる係り結びの考え方

文学、古典

古典文法の係り結びでは、「ぞ・なむ・や・か・こそ」が出てきたとき、文末の形がどのように変化しているかを確認する必要があります。しかし、実際の問題では「係り結びの省略」が登場するため、どこまでを係り結びとして数えるのか迷うことがあります。

特に「~にこそ」のように、結びの部分が省略されている表現は、見た目だけでは判断しにくいポイントです。この記事では、係り結びの省略と助動詞で結ばれる係り結びの数え方について分かりやすく解説します。

係り結びとは何かを確認する

係り結びとは、文中に特定の係助詞があることで、文末の活用形が通常とは変化する古典文法の決まりです。

代表的な係助詞と結びの形は以下のようになります。

係助詞 結びの形
ぞ・なむ・や・か 連体形
こそ 已然形

例えば「花ぞ美しき」という文では、「ぞ」があるため、文末の「美し」は連体形になっています。本来なら終止形で「美し」となるところが、係助詞の働きによって変化しています。

「~にこそ」はなぜ係り結びとして数えないのか

問題になる「~にこそ」という表現は、後ろにあるはずの結びの部分が省略されています。つまり、本来なら「~にこそあれ」「~にこそあらめ」などの形になる可能性があります。

しかし、問題で「係り結びが助動詞で結ばれているものを探す」と指定されている場合、実際の本文中に存在している結びの部分を探します。

「~にこそ」の場合、本文には結びにあたる助動詞が表れていません。そのため、想定される省略部分を補って「助動詞で結ばれている」と判断することはできず、数には入れません。

省略された形を勝手に補って数えてはいけない理由

古典では、省略されている言葉を補って意味を理解することはよくあります。しかし、文法問題で個数を答える場合は、基本的に本文に書かれているものを対象にします。

例えば「花は美しきにこそ」という文があった場合、「こそ」があるので「何かが省略されている」と考えることはできます。しかし、「本当は『あらめ』があるはずだから助動詞の結びがある」と考えると、本文にない要素まで数えることになります。

これは、数学の問題で途中式に書かれていない計算を勝手に追加して答えを変えてしまうようなものです。読解では補うことが必要でも、文法上の分類では本文にある形を重視します。

「こそあらめ」の場合はどう考えるのか

質問にある「~にこそあらめ」という形について考えてみます。「あらめ」は、動詞「あり」の未然形「あら」に助動詞「む」の已然形「め」が付いたものです。

もし本文が実際に「~にこそあらめ」となっていれば、「こそ」に対応する結びが存在しています。そして、その結びが助動詞であるため、問題の条件によっては数える対象になります。

しかし、「~にこそ」だけしか書かれていない場合は、「あらめ」は推測された補足部分です。そのため、実際の本文上では係り結びが助動詞で結ばれているとは扱いません。

係り結びの省略を見抜くポイント

係り結びの省略を判断するときは、まず係助詞があるかを確認し、その後に実際の文末を見ることが大切です。

確認する順番は以下のようになります。

  • ①係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ」を探す
  • ②文末が本来の結びの形になっているか確認する
  • ③結びが省略されている場合は本文上の係り結びとして数える条件を確認する

特に入試問題では、「省略された結びを補う読解」と「本文中の文法事項を数える作業」が区別されています。この違いを意識すると混乱しにくくなります。

まとめ

「~にこそ」のような表現は、係り結びの省略が起こっているため、後ろに「あれ」「あらめ」などが隠れている可能性があります。しかし、文法問題で係り結びの数を答える場合は、本文に実際に現れている形を基準に判断します。

したがって、「~にこそあらめ」と補えるからといって、必ず助動詞で結ばれた係り結びとして数えるわけではありません。本文に「こそ」に対応する結びの助動詞が書かれているかどうかを見ることが重要です。

係り結びでは、省略を補って意味を取る力と、書かれている文法事項だけを分析する力の両方が必要になります。この2つを分けて考えることで、難しい問題でも正確に判断できるようになります。

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