『増鏡』に登場する「いづくの島守となれらむもあぢきなく」という表現は、古文読解で助動詞の識別が重要になる箇所です。特に「なれらむ」は一見すると意味が取りにくいですが、動詞・助動詞に分けて考えることで理解できます。
この記事では、「いづくの島守となれらむもあぢきなく」の品詞分解を行い、「なれらむ」がどのような文法構造になっているのかを詳しく解説します。
「いづくの島守となれらむもあぢきなく」の全体の意味
まず、この部分の現代語訳は「どこかの島の番人となってしまうようなのも、つまらないことだ」という意味になります。
ここで重要なのは、「島守」という言葉です。島守とは、島を守る役人や番人のことを指します。都から遠く離れた場所へ流されることや、遠隔地で暮らすことを連想させる表現として使われています。
つまりこの場面では、都での生活から離れ、どこか遠い島で役目を負うことになるかもしれない状況を嘆いていると考えられます。
「いづくの島守となれらむも」の品詞分解
| 語句 | 品詞 | 説明 |
|---|---|---|
| いづく | 代名詞 | どこ、どの場所 |
| の | 格助詞 | 連体修飾を表す |
| 島守 | 名詞 | 島を守る役人 |
| と | 格助詞 | 結果や資格を表す |
| なれ | 動詞「なる」連用形 | なる、変化する |
| らむ | 助動詞「らむ」終止形 | 現在推量・現在の原因推量など |
| も | 係助詞 | 〜も、〜さえ |
この中で特に注意したいのが「なれらむ」です。「なれ」は助動詞ではなく、動詞「なる」の連用形です。
その後ろに助動詞「らむ」が接続して、「なる+らむ」つまり「なっているのだろう」「なるのであろう」という意味になります。
「なれらむ」の文法的な仕組み
「なれらむ」は、以下のように分解できます。
なる(動詞)+らむ(助動詞)
動詞「なる」はラ行四段活用の動詞で、連用形は「なり」になります。しかし、古文では「なる」の連用形が「なれ」となる場合もあります。ここでは「なる」の連用形「なれ」に助動詞「らむ」が付いた形です。
「らむ」は主に現在推量を表し、「今ごろ〜しているだろう」「〜であるのだろう」という意味になります。
なぜ「なれらむ」が「なってしまうような」と訳されるのか
「らむ」だけを見ると単純な推量に感じますが、古文の現代語訳では文章全体の状況を考えて自然な日本語に直します。
この場合、「島守となる」ということは本人が望んでいる変化ではなく、遠い場所へ行かざるを得ない状況を表しています。そのため、「島守となるのであろう」よりも「島守となってしまうのだろう」というニュアンスになります。
例えば、「明日は雨にならむ」は単純に「明日は雨になるだろう」ですが、悲しい出来事の文脈なら「雨になってしまうのだろう」と感情を含めて訳すことがあります。
「あぢきなく」の意味と役割
最後の「あぢきなく」は形容詞「あぢきなし」の連用形です。
「あぢきなし」は古文でよく使われる表現で、「つまらない」「どうにもならない」「甲斐がない」という意味があります。
ここでは「島守となれらむ」という未来への不安や嘆きを受けて、「そんなことになるのはつまらない、残念だ」という気持ちを表しています。
まとめ
『増鏡』の「いづくの島守となれらむもあぢきなく」は、品詞分解すると「なれ」は動詞「なる」の連用形、「らむ」は助動詞「らむ」と考えます。
つまり「なれらむ」は「なる+らむ」で、「島守となるのであろう」という意味になります。文脈上、望ましくない未来を表しているため、「島守となってしまうようなのもつまらなく」と訳されています。
古文では助動詞だけでなく、前後の状況や登場人物の感情を考えることで、より自然な現代語訳につなげることができます。


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