正規拡大で現れる多項式と最小多項式の違い|Q(√2)上で(x²+1)(x²-√2)を考える

大学数学

体の拡大を学んでいると、「ある元が満たす多項式」と「最小多項式」が混同しやすいポイントになります。特に正規拡大を示す場面では、複数の元の最小多項式をまとめた多項式が登場するため、既約性を満たさない式が出てくることがあります。

この記事では、Q(√2)からQ(i,2^{1/4})への拡大を例にして、なぜ(x^2+1)(x^2-√2)が現れるのか、そしてなぜこれは最小多項式ではないのかを整理して解説します。

最小多項式と「元が満たす多項式」は別物

まず重要なのは、最小多項式とは「ある体上である元を根にもつ多項式のうち、最高次係数が1で次数が最小の既約多項式」のことです。

一方で、ある元を代入すると0になる多項式は、必ずしも最小多項式とは限りません。例えば、ある元αの最小多項式がm(x)ならば、m(x)を因数にもつ多項式f(x)もαを根に持ちます。

つまり、f(α)=0だからといって、f(x)が最小多項式であるとは限りません。既約性は最小多項式を判断するための重要な条件です。

Q(√2)上でiと2^{1/4}を考える

今回考える拡大は、基礎体をK=Q(√2)としたとき、L=Q(i,2^{1/4})を考えるものです。

ここで、iについて考えると、iはx^2+1=0を満たします。つまり、Q(√2)上でのiの候補となる多項式はx^2+1です。

また、2^{1/4}については、(2^{1/4})^2=√2なので、x^2-√2=0を満たします。そのため、2^{1/4}はx^2-√2の根になります。

(x²+1)(x²-√2)が出てくる理由

正規拡大を確認するときには、単一の元ではなく、拡大体に含まれる元の共役(共役根)をすべて含むかどうかを見ることがあります。

iの共役は-iであり、2^{1/4}の共役には±2^{1/4}や±i2^{1/4}などがあります。このような根を含むために、複数の多項式を組み合わせた式が使われる場合があります。

(x^2+1)(x^2-√2)は、iと2^{1/4}に関係する多項式をまとめたものであり、「拡大体を調べるための多項式」としては意味があります。しかし、これは1つの元の最小多項式ではありません。

なぜ既約ではないのに問題にならないのか

質問で疑問になっている「最小多項式なのに既約でない」という点は、実は前提が少し混ざっていることが原因です。

最小多項式そのものは必ず既約です。しかし、正規拡大を示すために使われる多項式は、必ずしも最小多項式ではありません。

例えば、x^2+1とx^2-√2という2つの既約多項式を掛け合わせると、(x^2+1)(x^2-√2)という可約な多項式になります。このような多項式は「分解体を考えるための多項式」であり、個々の元の最小多項式とは役割が異なります。

正規拡大で必要なのは最小多項式の積の考え方

正規拡大とは、簡単に言えば「体の中で多項式が分解できる」という性質を持つ拡大です。

ある多項式のすべての根を含む体を考えるとき、その多項式は既約である必要がありますが、分解した後の多項式全体が既約である必要はありません。

例えば、x^4-2のような多項式の分解体を考える場合、その中ではx^2-√2やx^2+√2のような因子が現れます。これらを組み合わせて体の構造を調べるため、可約な多項式も自然に登場します。

まとめ

最小多項式は必ず既約ですが、ある元が満たす多項式や正規拡大を調べるために使う多項式は既約である必要はありません。

(x^2+1)(x^2-√2)は、iや2^{1/4}に関係する多項式をまとめたものであり、最小多項式そのものではありません。そのため既約でなくても矛盾はありません。

「最小多項式」と「分解体や正規拡大を考えるための多項式」を区別すると、このような問題は理解しやすくなります。

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