電気設備の設計では、受電盤から分電盤までの距離や配線条件によって幹線容量の選定方法が変わる場合があります。特に二次側分電盤の幹線容量を決める際には、電圧降下や許容電流、需要率などを考慮する必要があります。この記事では、受電盤から分電盤までの離隔距離が幹線容量に与える影響や、容量計算時に確認すべきポイントについて詳しく解説します。
分電盤の幹線容量を決める基本的な考え方
分電盤の幹線容量は、単純に接続する負荷の合計だけで決めるものではありません。実際には、負荷容量、需要率、不等率、電圧降下、配線方式などを総合的に判断して決定します。
幹線とは、受電設備や主幹盤から各分電盤へ電力を送るための主要な配線のことです。そのため、容量不足になると過熱や電圧低下などの問題につながる可能性があります。
例えば、同じ50kWの負荷を持つ設備でも、分電盤までの距離が短い場合と長い場合では、必要となるケーブルサイズが変わることがあります。
離隔距離によって幹線容量が変わる理由
受電盤から二次側分電盤までの距離が長くなると、電線の抵抗による電圧降下が大きくなります。そのため、同じ電流を流しても末端で使用できる電圧が低下します。
電圧降下を抑えるためには、電線を太くして抵抗を小さくする必要があります。つまり、距離が長いほど必要な幹線容量やケーブルサイズが大きくなる可能性があります。
ただし、これは「距離が何m以上なら必ず何%増やす」という単純な補正だけで決まるものではなく、設備条件や設計基準によって判断されます。
幹線容量計算で使われる主な補正要素
幹線設計では、離隔距離以外にもさまざまな条件を考慮します。代表的なものには以下があります。
- 許容電流による選定
- 電圧降下による選定
- 周囲温度による補正
- 電線管内の収容本数による補正
- 需要率による負荷計算
例えば、同じ電線を使用していても、周囲温度が高い場所や多数のケーブルを密集して敷設する場所では放熱条件が悪くなるため、許容電流を低く見る必要があります。
そのため、離隔距離だけを基準に幹線容量を決めるのではなく、実際の施工環境を含めた総合的な検討が必要です。
電圧降下計算による幹線サイズの決定方法
距離による影響を確認する場合、一般的には電圧降下計算を行います。電圧降下は、電線の抵抗値、流れる電流、配線距離によって変化します。
代表的な計算式は以下のようになります。
電圧降下(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
また、三相回路や単相回路では計算方法が異なるため、使用する電源方式に合わせた計算が必要です。
例えば、受電盤から50m離れた場所に分電盤を設置する場合、近距離の場合と同じケーブルサイズでは電圧降下が許容値を超える可能性があります。その場合は、より太い幹線を選定します。
「何m以上なら何%」という補正値について
電気設備の設計でよく聞かれる「何m以上なら何%増し」という考え方は、特定の規格や社内基準、設計ルールによって設定されている場合があります。
一方で、電気設備技術基準や内線規程では、単純に距離だけで幹線容量を一律補正するというより、許容電流や電圧降下などの条件を満たすように設計する考え方が基本です。
そのため、現場や設計会社によって「30mを超えたら○%増し」「50m以上ならサイズアップ」などの目安が使われることはありますが、正式な選定では計算による確認が必要です。
幹線容量を決める際に確認すべきポイント
二次側分電盤の幹線容量を決める場合は、まず以下の情報を整理することが重要です。
- 負荷設備の合計容量
- 電源電圧と相数
- 最大使用電流
- 受電盤から分電盤までの距離
- ケーブルの種類と敷設方法
- 許容される電圧降下率
例えば、同じ距離でもCVケーブルをラック敷設する場合と、電線管内に多数収容する場合では許容できる電流値が変わります。
そのため、距離だけを見て補正率を適用するのではなく、施工条件を含めて幹線設計を行うことが安全な設備につながります。
まとめ
分電盤の幹線容量は、受電盤からの距離だけで一律に決まるものではありません。離隔距離が長くなるほど電圧降下の影響が大きくなるため、必要に応じてケーブルサイズを大きくするという考え方になります。
「○m以上なら○%増加」という補正値は、特定の設計基準や会社基準として使われる場合がありますが、基本となるのは許容電流と電圧降下計算による確認です。
実際の設計では、負荷容量、配線距離、施工方法、使用環境を総合的に判断し、適切な幹線容量を選定することが重要です。


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