三角形の辺の長さや角度を求めるときに使う余弦定理ですが、学習を進めていると「公式が2種類あるように見える」と感じることがあります。実際には、余弦定理そのものが別々に存在するわけではなく、同じ関係式をどの辺について整理するかによって形が変わっています。
この記事では、余弦定理の基本的な意味から、よく使われる2つの形の違い、問題による使い分け方までをわかりやすく解説します。
余弦定理は基本的には1つの公式
余弦定理とは、三角形の3辺と1つの角の関係を表す公式です。
三角形ABCにおいて、辺BCをa、辺CAをb、辺ABをcとし、角Aの大きさをAとすると、余弦定理は次のように表されます。
a²=b²+c²-2bc cosA
この式は「角Aの向かい側にある辺aの長さを求める公式」として覚えることが多いですが、実際には三角形のどの角についても同じ形で成り立ちます。
2種類に見える理由は式の変形によるもの
余弦定理が2種類あるように感じる理由は、問題によって公式を変形して使うことがあるためです。
例えば、角度を求めたい場合は、余弦定理をcosの形に変形します。
cosA=(b²+c²-a²)÷2bc
この形を見ると、辺を求めるときの公式とは違う公式に見えます。しかし、これは元の余弦定理を角Aについて整理しただけであり、新しい公式ではありません。
辺を求める場合と角を求める場合の違い
余弦定理には大きく分けて2つの使い方があります。
| 求めたいもの | 使う形 |
|---|---|
| 辺の長さ | a²=b²+c²-2bc cosA |
| 角度 | cosA=(b²+c²-a²)÷2bc |
例えば、2辺の長さとその間の角が分かっている場合は、辺を求める形の余弦定理を使います。
一方で、3辺の長さが分かっていて角度を求めたい場合は、cosの形に変形した余弦定理を利用します。
余弦定理と三平方の定理の関係
余弦定理は、実は三平方の定理を含んだ非常に広い公式です。
直角三角形では角度が90度なので、cos90°=0になります。そのため余弦定理は次のように変化します。
a²=b²+c²
これは三平方の定理そのものです。
つまり、三平方の定理は余弦定理の特別な場合であり、余弦定理は直角以外の三角形にも使えるように一般化された公式だと考えることができます。
問題で余弦定理を選ぶポイント
余弦定理を使うかどうか迷った場合は、与えられている情報を見ると判断しやすくなります。
- 2辺とその間の角が分かっている場合 → 余弦定理で残りの辺を求める
- 3辺が分かっていて角を求める場合 → 余弦定理を変形して使う
- 直角三角形の場合 → 三平方の定理が使える
例えば、辺AB=5、辺AC=7、角A=60°のような条件なら、2辺と間の角が分かっているため、余弦定理の基本形を利用します。
逆に、3辺の長さだけが与えられている場合は、cosの値を求める形に変形して角度を計算します。
まとめ|余弦定理は2種類ではなく使いやすい形に変形しているだけ
余弦定理は「2種類ある」のではなく、同じ公式を目的に合わせて変形して使っているだけです。
辺を求めるときは「a²=b²+c²-2bc cosA」の形、角を求めるときは「cosA=(b²+c²-a²)÷2bc」の形を使います。
公式の形を丸暗記するよりも、「三角形の辺と角の関係を表している」という意味を理解すると、どの形を使えばよいか判断しやすくなります。


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