微分方程式系のモノドロミー行列は、特異点の周囲を一周したときに解がどのように変化するかを表す重要な概念です。特にdz/dz型の方程式では、行列の固有値や行列指数関数を利用することで具体的に求めることができます。ここでは、行列Aが与えられた場合のz=0におけるモノドロミー行列の計算手順を解説します。
z=0に特異点を持つ微分方程式系とモノドロミー行列
考える微分方程式系は、
dx/dz=(1/z)Ax
という形をしています。
この方程式ではz=0で係数1/zが発散するため、z=0は正則特異点になります。このような特異点の周囲を複素平面上で一周すると、解は一般には元の値に戻らず、ある行列を掛けた形で変化します。この変化を表す行列がモノドロミー行列です。
一般的にこの形の方程式の解は、行列指数関数を用いて
x(z)=z^A C
と書けます。ここでz^Aはexp(A log z)を意味します。
与えられた行列Aの固有値を求める
今回の行列は、
A=[[3/5,2/5],[-1,-3/5]]
です。
まず固有値を求めます。固有方程式は
det(A-λI)=0
です。
A-λIは
[[3/5-λ,2/5],[-1,-3/5-λ]]
となるため、行列式を計算すると、
(3/5-λ)(-3/5-λ)-(-2/5)=0
となります。第一項を展開すると、
(3/5-λ)(-3/5-λ)=λ²-9/25
なので、
λ²-9/25+2/5=0
つまり、
λ²+1/25=0
となります。
したがって固有値は、
λ=±i/5
です。
行列指数関数からモノドロミー行列を求める
z=0の周りを一周すると、複素対数は
log z→log z+2πi
と変化します。
解x(z)=exp(A log z)Cは、この変化によって、
exp(A(log z+2πi))C=exp(2πiA)exp(A log z)C
となります。
したがって、モノドロミー行列Mは、
M=exp(2πiA)
で与えられます。
Aの性質を利用して指数関数を計算する
今回の行列AについてA²を計算すると、
A²=[[ -1/25,0],[0,-1/25]]
つまり、
A²=-(1/25)I
が成り立ちます。
この性質を利用すると、指数関数は三角関数の形に変換できます。
一般にB²=-a²Iの場合、
exp(tB)=I cos(at)+(B/a)sin(at)
となります。
ここでB=A、a=1/5、t=2πiと考えると、
exp(2πiA)=I cos(2πi/5)+(5A)sin(2πi/5)
となります。
ただし、ここで注意すべき点があります。固有値が±i/5であるため、2πiを掛けた固有値は、
2πi(±i/5)=∓2π/5
となり、モノドロミー行列の固有値は、
e^{±2π/5}
になります。
対角化を用いた表現
Aは固有値が異なるため対角化可能です。つまり、
A=PDP^{-1}
と書けます。
ここでDは、
D=diag(i/5,-i/5)
です。
したがって、
M=exp(2πiA)=P exp(2πiD)P^{-1}
となります。
exp(2πiD)は対角行列であり、
diag(exp(-2π/5),exp(2π/5))
となります。
この式がz=0におけるモノドロミー行列の基本的な形になります。
まとめ|モノドロミー行列は特異点周回による解の変化を表す
微分方程式系dx/dz=(1/z)Axでは、z=0は正則特異点であり、モノドロミー行列は一般に、
M=exp(2πiA)
で求められます。
今回の行列ではA²=-(1/25)Iという性質を利用することで指数関数を簡単化でき、固有値を利用した対角化によって具体的な形を得ることができます。
このように、モノドロミー行列を求める際には、まず行列の固有値や固有ベクトルを調べ、行列指数関数を計算することが基本的な流れになります。


コメント