ロシアという国名は、現在の日本語では「ロシア」と表記されますが、江戸時代以前の日本では「おろしや」「をろしや」などと呼ばれていました。また、中国語でもロシアは「俄羅斯(Éluósī)」と表記されます。では、なぜロシアの最初の音に「を」や「俄(é)」のような音が付いたのでしょうか。この記事では、ロシアという名前が日本や中国に伝わった過程と、その表記の理由をわかりやすく解説します。
ロシアという国名の元になった言葉は「ルーシ」
現在のロシアという名称の起源は、東ヨーロッパに存在した国家や民族集団である「ルーシ(Rus’)」にあります。
ルーシは中世のキエフ・ルーシに代表される東スラブ系の国家で、この「Rus」という名称がヨーロッパ各地に広まりました。英語ではRussia、フランス語ではRussieなどとなり、日本語の「ロシア」もこの流れから来ています。
つまり、最初から「ロシア」という音だったわけではなく、外国語として伝わる過程で各国の発音や文字体系に合わせて変化していきました。
日本語の「をろしや」はどこから生まれたのか
江戸時代の日本では、ロシアを「おろしや」「をろしや」「ろしあ」などと表記していました。これは当時の日本人が外国語の発音を聞き取り、日本語の音で表現したためです。
当時、日本にはロシア語の正確な発音を表す文字体系がありませんでした。そのため、外国の国名は漢字や仮名を使って近い音に置き換える方法が一般的でした。
例えば、オランダを「阿蘭陀(おらんだ)」、ポルトガルを「葡萄牙(ぶどうが)」と表記したように、ロシアも聞こえた音に合わせて「おろしや」「をろしや」と表されたのです。
最初の「を」はロシア語のどの音なのか
「をろしや」の最初の「を」は、現在のロシア語にある特定の音をそのまま表したものではありません。
ロシア語のRussiaに相当する「Россия(Rossiya)」は、最初の音が「ロ」に近い発音です。しかし、昔の日本人がロシア人や他の外国人から聞いた発音では、語頭に母音のような音が加わって聞こえた可能性があります。
また、日本語では古くから外国語の語頭に母音を補って発音することがありました。子音で始まる外国語を日本語化する際、発音しやすくするために「オ」や「ウ」の音を付ける例が見られます。
中国語の「俄羅斯(俄羅斯)」も音を写した表記
中国語の「俄羅斯(Éluósī)」も、意味を表す漢字ではなく、外国語の音を表すために選ばれた漢字です。
中国語では外国の地名や国名を表す際、漢字の意味よりも発音を重視して当て字を使うことがあります。「俄羅斯」の漢字自体にロシアという意味があるわけではなく、ロシア語のRussiaに近い音を表現するために使われています。
日本語の「露西亜(ろしあ)」という漢字表記も同じ考え方で、漢字の意味ではなく音を借りたものです。
なぜ現在は「ロシア」という表記になったのか
時代が進むにつれて、日本では外国語の発音をより正確に表記するため、カタカナによる表記が一般的になりました。
「をろしや」という表記は歴史的な文献などで見ることはありますが、現代日本語では「ロシア」が標準的な呼び方になっています。
これは外国との交流が増え、国際的な発音に近い表記が求められるようになったためです。現在では新聞や政府機関などでも「ロシア」という表記が使われています。
まとめ|「をろしや」の「を」は外国語を日本語化した結果生まれた音
ロシアの古い呼び方である「をろしや」の最初の「を」は、ロシア語に元々存在する音をそのまま写したものではありません。
中世ヨーロッパの「ルーシ(Rus)」という名称が各国へ伝わる中で、中国や日本では、それぞれの言語体系に合わせて音を表現しました。その結果、日本では「おろしや」「をろしや」といった表記が生まれました。
外国の国名は、現在のように統一された表記が最初からあったわけではなく、各国が聞こえた音を自分たちの文字で表した歴史があります。「をろしや」という呼び方は、その国際交流の歴史を残す言葉の一つといえます。


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