非線形振動系では、微分方程式を相平面上の力学系として考えることで、平衡点の位置や安定性を調べることができます。今回は減衰項を含む非線形振動方程式 dx/dt=y、dy/dt=-ay-sinx(a>0)について、平衡点の求め方と線形化による安定性解析を詳しく解説します。
与えられた非線形振動方程式を整理する
対象となる微分方程式は、
dx/dt=y
dy/dt=-ay-sinx
です。
これは減衰を含む振り子の運動を表す代表的な非線形振動モデルです。第2式の「-ay」が速度に比例した減衰項であり、a>0によって時間とともにエネルギーが失われる性質を持ちます。
相平面では、横軸をx、縦軸をyとして、各点(x,y)における時間変化を調べます。平衡点とは、この流れが完全に止まる点を意味します。
平衡点を求める方法
平衡点では、xとyが時間によって変化しないため、
dx/dt=0
dy/dt=0
を満たす必要があります。
まず、
dx/dt=y
なので、
y=0
となります。
次に、
dy/dt=-ay-sinx
にy=0を代入すると、
-a×0-sinx=0
となります。
したがって、
sinx=0
を満たす必要があります。
sinx=0となるのは、
x=nπ(nは整数)
です。
よって平衡点は、
(x,y)=(nπ,0)
となります。
平衡点の安定性を調べるための線形化
非線形方程式の安定性を調べるために、平衡点の近くで線形近似を行います。
右辺を、
f(x,y)=y
g(x,y)=-ay-sinx
とおくと、ヤコビ行列は、
J=(
∂f/∂x ∂f/∂y
∂g/∂x ∂g/∂y
)
となります。
それぞれの偏微分を求めると、
∂f/∂x=0
∂f/∂y=1
∂g/∂x=-cosx
∂g/∂y=-a
なので、
J=[[0,1],[-cosx,-a]]
になります。
x=2kπの場合の安定性
まず、
x=2kπ
の場合を考えます。
このとき、
cos(2kπ)=1
なので、ヤコビ行列は、
J=[[0,1],[-1,-a]]
となります。
固有値を求めるため、
|λI-J|=0
より、
λ²+aλ+1=0
を得ます。
この2次方程式の解は、
λ=(-a±√(a²-4))/2
です。
a>0なので、どの場合でも固有値の実部は負になります。
したがって、
x=2kπ,y=0の平衡点は漸近安定な点(安定な渦状点または安定結節点)
になります。
つまり、この位置の近くにある軌道は時間とともに平衡点へ近づいていきます。
x=(2k+1)πの場合の安定性
次に、
x=(2k+1)π
を考えます。
このとき、
cos((2k+1)π)=-1
なので、ヤコビ行列は、
J=[[0,1],[1,-a]]
になります。
固有方程式は、
λ²+aλ-1=0
です。
解は、
λ=(-a±√(a²+4))/2
となります。
ここでは、√(a²+4)>aであるため、1つの固有値は正、もう1つは負になります。
したがって、
x=(2k+1)π,y=0の平衡点は鞍点であり不安定
です。
少しでも平衡点から離れると、軌道はそこから離れていく方向へ進みます。
相平面で見た運動の特徴
減衰項-ayが存在するため、この系ではエネルギーが徐々に失われます。
そのため、減衰がない場合のような閉じた周期軌道は一般的には現れず、安定な平衡点へ向かって軌道が収束します。
例えば振り子を少し揺らした場合、摩擦がなければ永遠に揺れ続けますが、摩擦がある実際の振り子では最終的に真下の位置で停止します。この現象が相平面上では安定な平衡点への収束として表されます。
まとめ|dx/dt=y, dy/dt=-ay-sinxの平衡点と安定性
非線形振動方程式
dx/dt=y
dy/dt=-ay-sinx(a>0)
の平衡点は、
(x,y)=(nπ,0)
です。
そのうち、
- x=2kπでは漸近安定な平衡点
- x=(2k+1)πでは不安定な鞍点
となります。
減衰項があることで、安定な平衡点周辺の運動は時間とともに収束します。非線形振動系では、このように相平面と線形化を利用することで、複雑な運動の性質を解析できます。


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