「嫁す」の読み方は「かす」?幸田文『雑記』に登場する古い漢字表現を解説

日本語

古い日本文学を読んでいると、現在ではあまり使われなくなった漢字や読み方に出会うことがあります。幸田文の『雑記』に登場する「嫁す」という表現もその一つです。「よめす」と読みたくなりますが、これは現代語の感覚とは異なる読み方をする言葉です。この記事では「嫁す」の正しい読み方と意味、文学作品で使われる背景について解説します。

「嫁す」の読み方は「かす」

「嫁す」は「かす」と読みます。

「嫁」という漢字は現在では主に「よめ」「とつぐ」という意味で使われますが、古い日本語では「嫁す(かす)」という動詞として使われることがありました。

文章中の「なるほど嫁すまでを齧り」は、「なるほど、嫁ぐまでのことを少し知った」というような意味になります。

「嫁す(かす)」の意味

「嫁す(かす)」は、女性を嫁に行かせること、または女性が嫁ぐことを表す古い表現です。

現代の言葉で言えば「嫁ぐ」「結婚する」に近い意味ですが、「嫁す」は古風で文語的な表現です。明治期から昭和初期の文学作品などでは、このような漢語的な表現がよく使われていました。

例えば「娘を嫁す」という場合は「娘を嫁に出す」という意味になります。一方で「彼女が嫁す」という場合は「彼女が嫁ぐ」という意味になります。

「嫁す」と「嫁ぐ」の違い

現在一般的に使われる「嫁ぐ」は、自分自身が結婚して相手の家に入ることを表します。

一方、「嫁す」は文脈によって、嫁に行く側にも嫁に出す側にも使われる点が特徴です。

表現 読み方 意味
嫁ぐ とつぐ 女性が結婚して相手の家に入る
嫁す かす 嫁に行かせる、または嫁ぐこと

文学作品では、文章全体の流れからどちらの意味なのかを判断する必要があります。

「嫁すまでを齧り」の表現が持つニュアンス

「なるほど嫁すまでを齧り」という一節では、「嫁すまで」という部分が「嫁ぐまでの過程」や「結婚するまでの人生経験」を指していると考えられます。

また「齧り(かじり)」という言葉は、「少しだけ経験する」「深くではなく表面的に知る」という意味で使われています。

つまり、この表現は「結婚するまでのことを少し経験した」「嫁ぐという人生の一場面について触れた」というような、控えめで文学的な表現になっています。

文学作品で古い読み方が使われる理由

幸田文の作品では、日常生活や女性の生き方、昔ながらの日本文化が細やかな表現で描かれています。そのため、現代ではあまり使われない言葉や漢字表現が登場することがあります。

「嫁す」のような表現は、単に意味を伝えるだけではなく、時代背景や人物の置かれた状況を感じさせる効果があります。

例えば「結婚する」と書くよりも「嫁す」と書くことで、昔の家制度や女性が嫁ぐという人生の節目をより強く感じさせる文章になります。

まとめ

幸田文『雑記』に登場する「嫁す」は「よめす」ではなく「かす」と読みます。

意味は「嫁ぐこと」「嫁に行かせること」で、現代語の「結婚する」「嫁ぐ」に近い古い表現です。

文学作品では、このような現在では使われなくなった言葉が、時代の雰囲気や人物の心情を表現するために用いられています。「嫁す」という言葉を知ることで、幸田文の文章をより深く味わうことができます。

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