古文の敬語問題では、「侍り(はべり)」「候ふ(さぶらふ)」などの語が出てくると、現代語訳に迷いやすくなります。これらの語は文脈によって意味が変化し、「あります・います」「〜です・〜ます」「お仕えする」など複数の訳し方があります。この記事では、古典敬語の基本的な考え方と、具体的な例文を使って正しい見分け方を解説します。
古文敬語の「侍り」と「さぶらふ」は意味が変わる
古文でよく登場する「侍り(はべり)」と「候ふ(さぶらふ)」は、もともと「身分の高い人のそばに控える」という意味を持つ動詞でした。しかし、時代が進むにつれて意味が広がり、丁寧語としても使われるようになりました。
そのため、「侍り」「さぶらふ」を見たら、必ず「お仕えする」と訳すのではなく、その文の中で誰が誰に対して話しているのかを確認する必要があります。
例えば、目上の人に仕えている場面なら「お仕え申し上げる」になりますが、単に存在や状態を丁寧に表している場合は「あります・います」「〜です・ます」と訳します。
「己がしはべることなり」の品詞分解と現代語訳
「己がしはべることなり」は、「しはべる」がポイントになります。「はべる」は古文では「侍る」と書き、丁寧語または謙譲語として使われます。
品詞分解すると、以下のようになります。
己/が/し/はべる/こと/なり
名詞/格助詞/サ変動詞「す」連用形/補助動詞「はべり」連体形/名詞/断定の助動詞「なり」終止形
この場合の「はべる」は、話し手が自分の動作を丁寧に述べている用法です。そのため「お仕え申し上げる」ではなく、「〜します」「〜です」という丁寧な意味になります。
したがって、「己がしはべることなり」は「私がすることでございます」「私がいたします」という意味になり、選択肢ではウの「〜です・〜ます」が適切です。
「人の煩ふことの侍りし」の訳し方
「人の煩ふことの侍りし」は、「侍り」が存在を表す用法として使われています。
品詞分解すると、以下のようになります。
人/の/煩ふ/こと/の/侍り/し
名詞/格助詞/動詞「煩ふ」連体形/名詞/格助詞/ラ行変格活用動詞「侍り」連用形/過去の助動詞「き」連体形
「人が病気になることがありました」という意味になります。「侍り」はここでは「あります」の丁寧な表現なので、選択肢ではイの「あります・います」が正解です。
このように「侍り」の直前に存在するものや出来事が置かれている場合は、「ある・いる」と訳すことが多くなります。
「女官はいままでさぶらはじ」の訳し方
「女官はいままでさぶらはじ」では、「さぶらふ」が単独の動作を表しています。この場合は、誰かに仕える意味になります。
品詞分解すると、以下のようになります。
女官/は/いままで/さぶらは/じ
名詞/係助詞/副詞/ラ行四段活用動詞「さぶらふ」未然形/打消意志の助動詞「じ」終止形
ただし、この文では「じ」の意味に注意が必要です。「じ」は「〜ないだろう」「〜するつもりはない」などの意味がありますが、主語が誰かによって判断します。
「女官はいままでさぶらはじ」は「女官は今までお仕え申し上げないだろう」「女官はこれまでお仕えしないつもりだ」という意味になります。そのため、選択肢ではアの「お仕え申し上げる」が「さぶらふ」の意味として正解になります。
古文敬語問題を解くときのポイント
古文敬語を見分けるときは、単語だけで判断しないことが重要です。同じ「侍り」「さぶらふ」でも、文脈によって訳が変わります。
判断するときは、まず主語を確認します。身分の低い人物が高い人物に対して使っている場合は「お仕えする」という謙譲表現になることが多く、単に存在や状態を表している場合は「あります・います」と考えます。
また、「侍り」「さぶらふ」の後ろに「なり」「き」などが続く場合は、文全体の意味を考えて自然な現代語に直すことが大切です。
まとめ
古文の「侍り」「さぶらふ」は、状況によって「お仕え申し上げる」「あります・います」「〜です・ます」と訳し分ける必要があります。
「己がしはべることなり」は丁寧語として使われているため「〜です・ます」の意味になり、「人の煩ふことの侍りし」は存在を表すため「あります」、「女官はいままでさぶらはじ」は仕える意味で「お仕え申し上げる」と訳します。
古文敬語は単語の意味を暗記するだけでなく、誰が誰に対して話しているのかを考えることで、正確に現代語訳できるようになります。


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