KiCadで基板上に部品名や機能名を表示する方法|リファレンスと値・シルク印刷の使い分けを解説

工学

KiCadでプリント基板を設計していると、コネクタやLEDなどの近くに「PWR」「MTR」などの機能名や部品名を表示したい場面があります。リファレンス番号は自動表示できますが、値(Value)は初期設定ではFabレイヤに配置されているため、そのままでは基板製造時のシルクスクリーンには印刷されません。この記事では、基板上に表示する文字の種類や、一般的な設定方法について解説します。

基板上に表示される文字には役割ごとの違いがある

KiCadでは、部品に関する文字情報を複数のレイヤで管理しています。代表的なものがリファレンス(Reference)、値(Value)、フットプリント情報などです。

リファレンスとは「R1」「C3」「LED1」のような部品識別番号です。回路図と基板上の部品を対応させるために使用され、組み立てやデバッグ時に役立つため、通常はシルクスクリーンレイヤに表示します。

一方、値(Value)は「10kΩ」「100uF」「LED_RED」のような部品の種類や型番を示す情報です。KiCadの初期設定ではValueはFabレイヤに配置されていることが多く、製造用データではシルク印刷されません。

部品名や機能名を表示する場合はシルクレイヤに配置する

基板上に「PWR」「MTR」「USB」など、使用者が見て分かる名称を表示したい場合、一般的にはシルクスクリーンレイヤ(F.Silkscreen)に文字を配置します。

例えば、電源コネクタの横に「PWR」と表示したり、モーター接続端子の横に「MOTOR」と表示したりする場合は、シルクレイヤ上のテキストとして配置する方法がよく使われます。

このような文字は部品のValueとは別の情報として扱うことが多く、手動でテキストを追加する設計者も多くいます。基板を使用する人に向けた説明文字は、回路設計情報ではなく基板の案内表示だからです。

Valueをシルクスクリーンへ変更する方法

部品のValueをそのまま基板上へ印刷したい場合は、Valueフィールドの配置レイヤを変更する方法があります。

KiCadの基板エディタで対象部品を選択し、プロパティからValueのレイヤをF.Silkscreenへ変更すると、部品の値をシルク印刷用データに含めることができます。

例えば、抵抗やコンデンサの種類を基板上で確認したい場合には、この方法が便利です。ただし、すべての部品のValueをシルクに出すと文字量が増え、基板が見づらくなる場合があります。

実際の基板設計では手動テキスト追加がよく使われる

市販基板や実務で使われる基板では、部品のValueを大量に表示するよりも、必要な情報だけをシルク文字として追加する設計が一般的です。

例えば、LEDの横に「POWER」「STATUS」と表示したり、コネクタ付近に「12V」「UART」「SENSOR」といった用途名を表示したりします。このような表示は、組み立て担当者や利用者が迷わないようにするためのものです。

KiCadでは「Place Text(テキスト配置)」機能を使って、F.Silkscreenレイヤ上へ自由に文字を追加できます。部品の種類ではなく、基板の操作性を高める情報として扱う場合はこちらの方法が適しています。

Fabレイヤとシルクスクリーンレイヤの違い

Fabレイヤは主に基板製造や組み立て確認用の情報を出力するためのレイヤです。部品外形、寸法確認、部品配置確認などに利用されます。

一方、シルクスクリーンレイヤは実際に基板表面へ印刷される文字情報です。製品として完成した基板を見たときに、人が確認できる文字はこちらになります。

そのため、製造後に見せたい情報なのか、設計者や組立工程だけで使用する情報なのかによって、適切なレイヤを選択することが重要です。

KiCadで文字表示を設定するときのおすすめの考え方

基板上に表示する文字は、すべて自動的に出すのではなく、目的に応じて整理すると見やすい基板になります。

部品番号の管理にはリファレンス、部品仕様を確認したい場合には必要に応じてValue、利用者向けの説明には手動で追加したシルク文字を使うという分け方がおすすめです。

例えば、小型の制御基板では「LED1」「R1」など最低限の識別情報だけを残し、コネクタ周辺には「IN」「OUT」「5V」「GND」などの機能表示を追加すると、実用性の高い基板になります。

まとめ:KiCadでは用途によってValue変更と手動シルク文字を使い分ける

KiCadでコネクタやLEDの近くに名称を表示したい場合、一般的にはF.Silkscreenレイヤへ手動でテキストを追加する方法がよく使われます。

Valueをシルクスクリーンへ変更する方法もありますが、部品情報をそのまま表示したい場合に向いています。基板利用者向けの表示や機能名の場合は、専用のシルク文字として配置する方が管理しやすくなります。

基板設計では、どの情報を誰が見るのかを考えてレイヤを選択することで、製造しやすく使いやすいプリント基板を作成できます。

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