中国の漢字辞典では読み方をどう表記する?ピンイン以前の表記方法と漢字音の歴史を解説

中国語

日本の漢字辞典では、漢字の読み方をひらがなやカタカナで示すことが一般的です。一方、中国の漢字辞典ではどのように発音を表記しているのか疑問に感じる人も多いでしょう。中国では現在、主にアルファベットを使った「ピンイン」が用いられていますが、これは比較的新しい仕組みです。この記事では、中国の漢字辞典における発音表記の方法と、その歴史について詳しく解説します。

現在の中国の漢字辞典ではピンインで読みを表記する

現在、中国で出版されている漢字辞典では、漢字の発音を表すために「漢語拼音(ピンイン)」が広く使われています。

例えば、日本でも知られている漢字「中」の中国語の読みは「zhōng」と表記されます。「中華人民共和国」の「中」も、中国語では「zhōng huá」という発音になります。

ピンインはアルファベットを利用して中国語の音を表す仕組みで、1950年代に中国で制定され、現在では教育現場や辞書、コンピューター入力など幅広く利用されています。

ピンインがなかった昔の中国ではどう表記していたのか

ピンインが作られる以前、中国では漢字の発音を示すために、主に「反切(はんせつ)」という方法が使われていました。

反切とは、別の2つの漢字を組み合わせて、ある漢字の発音を示す方法です。最初の漢字から声母(音の始まり)を取り、2番目の漢字から韻母(音の終わり)を取って発音を表します。

例えば、「東」という漢字の発音を示す場合、「徳」と「紅」のような別の漢字を使って「徳の声+紅の韻」という形で説明しました。

これは現代のアルファベット表記とは違い、漢字を知っている人向けの表記方法でした。そのため、漢字を知らない人が発音を学ぶには難しい仕組みでした。

中国の古い辞書で使われた発音表記の方法

中国では古くから漢字辞典が発達しており、代表的なものとして『説文解字』や『康熙字典』などがあります。

これらの辞書では、現在のようにアルファベットで発音を書くことはありませんでした。漢字そのものを使って発音を説明する方法が中心でした。

特に古代から中世にかけては、反切のほかに「直音」という方法も使われました。直音とは、発音が同じ別の漢字を示して読み方を説明する方法です。

例えば、「某という字は某字と同音である」というように、読者が知っている漢字を利用して発音を理解させました。

注音符号という表記方法も存在する

中国ではピンイン以外にも発音を表す仕組みがあります。その代表が「注音符号(ちゅういんふごう)」です。

注音符号は1910年代に作られた中国独自の発音記号で、現在でも台湾では教育や辞書で使用されています。

例えば、中国大陸では「中」を「zhōng」と書きますが、台湾の一部の辞書では「ㄓㄨㄥ」と表記します。このように、中国語圏でも地域によって発音表記の方法が異なります。

日本の仮名表記と中国の発音表記の違い

日本の漢字辞典で使われるひらがなやカタカナは、日本語の音を表すために作られた文字です。そのため、日本語話者にとって読み方を直感的に理解しやすい特徴があります。

一方、中国語では漢字自体が表意文字であり、同じ漢字でも地域や時代によって発音が変化してきました。そのため、発音を正確に示すための専用の仕組みが必要になりました。

現代ではピンインによって中国語の発音をローマ字で表せるため、外国人学習者にも中国語の音を学びやすくなっています。

まとめ|中国の漢字辞典は時代によって発音表記が変化してきた

現在の中国の漢字辞典では、主にピンインというアルファベット表記で読み方を示しています。しかし、これは近代になって作られた比較的新しい方法です。

昔の中国では、反切や直音など、漢字を利用して別の漢字で発音を説明する方法が使われていました。そのため、古い漢字辞典には現在のようなアルファベット表記は存在しませんでした。

中国の漢字辞典における読み方の表記は、漢字文化の歴史とともに変化してきたものであり、現在のピンインは長い発音研究の歴史の上に成り立っている仕組みだと言えます。

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