二項係数nCmを含む式で、任意の正の整数m,nに対して成り立つ条件から定数を求める問題では、「nCmを1つの変数として考えてよいのか」という疑問が生じます。恒等式の考え方は便利ですが、文字を置き換える場合には、その文字がどのような範囲の値を取るのかを確認する必要があります。この記事では、二項係数を含む式を恒等式として扱う方法と、正しい解法について解説します。
恒等式として扱うために必要な条件
恒等式とは、含まれる文字がどのような値を取っても常に成立する等式のことです。
例えば、ax+b=0がすべての実数xで成り立つ場合、xの係数と定数項がそれぞれ0でなければならないため、a=0,b=0となります。
しかし、この考え方をそのまま二項係数nCmに適用するには注意が必要です。なぜなら、nCmは自由な実数ではなく、特定の整数値しか取らないからです。
nCmをxと置く場合の注意点
式の中にある二項係数をx=nCmと置くこと自体は問題ありません。
ただし、このときのxは任意の実数ではありません。例えば、n=5,m=2なら、
5C2=10
となります。このようにxは二項係数として現れる値だけを取ります。
つまり、「xについての恒等式だからa=b=0」と判断するためには、xが無限に多くの値を取り、その値が恒等式を判断できるほど広い範囲を持つことを示す必要があります。
今回の問題では恒等式として考えてよいのか
与えられた条件は、
a×(nCm)+b=0
が任意の正の整数m,n(ただしn≧m)で成立するというものです。
この場合、nCmはさまざまな値を取ります。例えば、
1C1=1
2C1=2
3C1=3
4C2=6
のように、異なる値を取ることができます。
したがって、少なくとも2種類以上異なるnCmの値について式が成立することを利用すれば、aとbを求めることができます。
恒等式を使わずに解く方法
例えば、nCmが1になる場合と2になる場合を考えます。
nCm=1のとき、
a+b=0
となります。
また、nCm=2のとき、
2a+b=0
となります。
この2つの式を引き算すると、
a=0
が得られます。
さらに、a+b=0に代入すると、
b=0
となります。
つまり、この問題では「xについての恒等式」と考えなくても、異なる二項係数の値を代入することで同じ結論を導くことができます。
恒等式とみなす考え方が有効な場面
二項係数を含む式でも、取り得る値が十分に広い場合には、恒等式に近い考え方を利用できます。
例えば、ある式が多数の異なるxの値で成立し、その式が一次式や多項式である場合、係数比較によって解くことが可能な場合があります。
ただし、数学的に厳密には「xが任意の値を取る」と「xが特定の集合の値だけを取る」は異なります。そのため、置換した文字の範囲を意識することが重要です。
まとめ
nCmをxと置くことはできますが、xを任意の実数として恒等式扱いすることは、そのままでは正しくありません。
今回の問題では、nCmが複数の異なる値を取ることを利用して、a×x+b=0が複数の場合で成立することからa=0,b=0を導くのが適切な考え方です。
恒等式の利用では、「文字が本当に自由な値を取れるのか」を確認することが大切です。二項係数のような制限された値を取るものでは、値域を確認してから判断するようにしましょう。


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