国語文法で学ぶ可能動詞は、動詞の活用を理解するうえで重要な項目です。しかし、「五段活用の動詞から作られる」と説明される一方で、「見る」や「捨てる」のような一段活用の動詞にも可能を表す形があるため、混乱する人も少なくありません。
また、「書ける」「読める」のような可能動詞に命令する形は存在するのか、日常会話で使われる表現は文法的に正しいのかという疑問もよくあります。この記事では、可能動詞の正しい意味や作り方、活用、似た表現との違いについて詳しく解説します。
可能動詞とは何か?基本的な意味と特徴
可能動詞とは、「~することができる」という可能の意味を表す動詞です。例えば「読む」という動詞から「読める」、「書く」という動詞から「書ける」という形を作ることができます。
現在の学校文法では、可能動詞は主に五段活用の動詞から作られるものとして説明されています。五段活用の動詞の語尾を変化させることで、下一段活用の可能動詞になります。
例えば、「泳ぐ」は「泳げる」、「話す」は「話せる」、「行く」は「行ける」という形になります。これらはすべて元の動詞とは別の一つの動詞として扱われます。
一段活用の動詞に可能の意味を持たせる場合
「見る」「食べる」「捨てる」などの一段活用の動詞でも、可能を表す表現を作ることはできます。ただし、学校文法でいう可能動詞とは区別されます。
例えば、「見る」の可能表現は「見られる」、「食べる」の可能表現は「食べられる」、「捨てる」の可能表現は「捨てられる」です。これらは可能動詞ではなく、助動詞「られる」を使った表現として扱われます。
つまり、「見られる」という言葉は意味としては可能を表していますが、文法上は「見る」という動詞に可能の助動詞「られる」が付いた形です。
「捨てれない」は正しい日本語なのか
「捨てれない」という表現を耳にすることがありますが、学校文法では一般的に「捨てられない」が正しい形とされています。
「捨てる」は下一段活用の動詞なので、本来は可能の意味を表す場合、「捨てられる」という形になります。「捨てれる」は、可能の助動詞「られる」の「ら」が省略された、いわゆるら抜き言葉に近い表現です。
ただし、現代の日本語では「食べれる」「見れる」などのら抜き言葉が広く使われています。日常会話では定着していますが、学校の文法問題や正式な文章では「食べられる」「見られる」を使うのが基本です。
可能動詞に命令形は存在するのか
可能動詞は学校文法上、命令形を持たないと説明されることが多いです。これは、可能という意味そのものが「できる状態」を表しており、通常は相手に命令する対象になりにくいためです。
例えば「書ける」という可能動詞に対して、「書けろ」という命令形を作ることは、文法的には一般的な形として認められていません。
「書けろよ」という表現を聞くことがありますが、これは標準的な文法ではなく、「書ける」という可能動詞の命令形ではありません。多くの場合、話し言葉の中で生まれた表現や、「書け」という命令形との混同によるものです。
「書けろよ」はなぜ使われるのか
「このぐらいは書けろよ」という表現は、文法的には少し不自然な言い方です。正しく言うなら、「このぐらいは書けよ」や「このぐらいは書けるようになれよ」などになります。
「書けよ」は動詞「書く」の命令形です。一方で「書ける」は「書くことができる」という能力を表す可能動詞なので、命令形にする場合は別の表現に言い換える必要があります。
例えば先生が「漢字ぐらい書けろよ」と言った場合、実際には「書けるようになれ」という意味を強調した口語表現として使っている可能性がありますが、学校文法の分類では可能動詞の命令形とは考えません。
可能動詞と助動詞「られる」の違い
| 種類 | 例 | 文法上の扱い |
|---|---|---|
| 可能動詞 | 読む→読める | 五段活用から作られる一つの動詞 |
| 可能の助動詞 | 見る→見られる | 動詞に助動詞「られる」が付く |
この違いを理解すると、「見る」や「食べる」が可能動詞ではない理由が分かります。どちらも可能の意味を持っていますが、作られ方が異なります。
国語のテストでは、単に意味だけを見るのではなく、「元の動詞が何か」「どのように変化しているか」を確認することが大切です。
まとめ
可能動詞は主に五段活用の動詞から作られ、「読む→読める」「書く→書ける」のように「~することができる」という意味を表します。
一方で、「見る→見られる」「食べる→食べられる」のような表現は可能の意味を持ちますが、可能動詞ではなく助動詞「られる」による表現です。
また、可能動詞には基本的に命令形はなく、「書けろ」のような表現は標準文法では可能動詞の命令形とは扱いません。日常会話では独特な言い回しが使われることがありますが、学校文法では形の作り方を正しく区別することが重要です。


コメント