英語の長文読解では、単語の意味だけでは自然な日本語訳にならない文章が多くあります。特に「He became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima.」のような文は、sittingやto visitの働きを理解しないと「なぜ現職になるのか」「なぜto visitで訪れたという意味になるのか」が分かりにくい表現です。
この記事では、この英文の文構造を分解しながら、「sitting U.S. president」がなぜ「現職のアメリカ大統領」になるのか、そして「to visit Hiroshima」がなぜ「広島を訪れた」と訳されるのかを詳しく解説します。
英文全体の意味と基本構造
「He became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima.」は、直訳すると「彼は広島を訪れる最初の現職のアメリカ大統領になりました」となります。
この文の主な構造は以下のようになっています。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| He | 彼は |
| became | 〜になった |
| the first | 最初の |
| sitting U.S. president | 現職のアメリカ大統領 |
| to visit Hiroshima | 広島を訪れる(訪れた) |
つまり「彼は、広島を訪問した最初の現職アメリカ大統領になった」という意味になります。
sittingが「現職の」という意味になる理由
sittingという単語を見ると「座っている」という意味を思い浮かべる人が多いですが、政治や公的な役職の話では別の意味があります。
sittingには「現在その地位に就いている」「在職中の」という意味があります。そのため、sitting presidentは「現在大統領の職にある人」、つまり「現職大統領」という意味になります。
例えば、以下のような表現でも同じ使い方をします。
- sitting president:現職大統領
- sitting governor:現職知事
- sitting member of parliament:現職国会議員
この場合のsittingは「座っている」ではなく、「その席(地位)に座っている」というイメージから「在職している」という意味になっています。
なぜ「first sitting U.S. president」は「最初の現職アメリカ大統領」になるのか
英語では名詞を前から修飾する形がよく使われます。「sitting U.S. president」は、president(大統領)をsitting U.S.(現職のアメリカの)で説明しています。
日本語では修飾語を名詞の前に置くため、自然な順番にすると「現職のアメリカ大統領」となります。
また、「first」は「最初の」という意味なので、「the first sitting U.S. president」は「最初の現職アメリカ大統領」という一つのまとまりとして理解すると分かりやすくなります。
to visit Hiroshimaが「広島を訪れた」になる理由
「to visit Hiroshima」のtoは、不定詞のtoです。不定詞には「〜するための」「〜するべき」「〜する」という意味があります。
この文では、to visit Hiroshimaが直前の名詞である「the first sitting U.S. president」を説明しています。これは「名詞を説明する不定詞」と呼ばれる用法です。
つまり、直訳すると「広島を訪れる最初の現職アメリカ大統領」という意味になります。
名詞+to不定詞の例
同じ形の例を見ると理解しやすくなります。
- I was the first person to arrive.(私は到着した最初の人でした)
- She is the only student to pass the exam.(彼女はその試験に合格した唯一の学生です)
- He is the next player to score.(彼は次に得点する選手です)
このように「名詞+to不定詞」は、「その名詞がどんな人・物なのか」を説明する働きをします。
なぜto visitが過去の「訪れた」になるのか
英文を見ると「to visit」は現在形のように見えるため、「訪れる」と訳すべきではないかと思うかもしれません。
しかし、日本語訳では文全体の時間関係を考えて自然な表現にします。この文では、彼がすでに広島を訪問した出来事について述べているため、「広島を訪れた」と訳されています。
不定詞自体には時制が強く表れないため、前後の文脈によって「〜する」「〜した」と訳し分ける必要があります。
この英文が指している出来事
この英文の「He」は、2016年に広島を訪問した当時のアメリカ大統領であるバラク・オバマ氏を指します。
「He became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima.」は、「彼は広島を訪問した初めての現職アメリカ大統領になった」という歴史的な出来事を説明する文章です。
過去の大統領経験者が広島を訪れた例はありましたが、在任中のアメリカ大統領が広島を訪問したのは初めてだったため、このような表現が使われています。
まとめ|英文は単語ではなく文の役割で考える
「He became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima.」を理解するポイントは、sittingとto不定詞の働きを知ることです。
sittingは政治的な文脈では「現職の」という意味になり、to visit Hiroshimaは「広島を訪れる大統領」という名詞を説明する不定詞として使われています。
英語では単語を一つずつ日本語に置き換えるだけでは自然な訳になりません。名詞を修飾する語句や文全体の時制を考えることで、「現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪れた」という正確な意味を理解できるようになります。


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