高圧受電設備の改修工事では、キュービクルとPAS(柱上気中開閉器)間の高圧ケーブル更新など、既設配線を撤去して新しいケーブルへ交換する作業があります。その際、撤去前の相順確認を忘れてしまうと、新設ケーブル接続時に正相だったのか逆相だったのか判断できなくなるケースがあります。
高圧回路では相順を誤ると、接続先の設備によっては機器の逆回転や不具合につながる可能性があります。この記事では、既設ケーブル撤去後に相順が分からなくなった場合の確認方法や、安全に復旧するための考え方について解説します。
高圧ケーブルの相順とは何か
相順とは、三相交流回路における各相(R・S・Tなど)の電圧変化の順番を指します。三相交流では、それぞれの相が一定の順序で変化しており、この順序によって電動機などの回転方向が決まります。
例えば、三相モーターでは正しい相順で接続すると設計された方向へ回転しますが、相順が逆になると回転方向も逆になります。そのため、工場設備やポンプなどでは相順確認が重要になります。
キュービクルからPASまでの高圧ケーブル更新でも、単純に3本の線を接続すればよいわけではなく、既設と同じ相順で接続する必要があります。
既設ケーブル撤去後に相順が分からなくなった場合の基本的な考え方
既設ケーブルの相順を記録し忘れた場合でも、確認する方法はいくつかあります。ただし、高圧設備であるため、作業は必ず停電状態を確認し、電気主任技術者などの管理下で安全を確保して行う必要があります。
最も確実な方法は、電源側と負荷側それぞれの相順を確認し、現在の接続状態から判断することです。高圧回路では目視だけで判断することはできないため、測定器を使用します。
また、単に相順だけでなく、各ケーブルがどの端子へ接続されていたかという情報も重要です。施工前の写真や施工記録が残っている場合は、それらを確認することが最初の手段になります。
相順計を使用して確認する方法
相順を確認する代表的な方法として、相順計(検相器)を使用する方法があります。相順計は三相交流の相の並びを確認するための測定器で、正相か逆相かを判定できます。
例えば、受電側または確認可能な低圧側で三相の相順を測定し、現在の電源側の相順を把握します。その結果をもとに、新設ケーブルの接続順を調整します。
ただし、高圧側で直接測定する場合は高圧対応の検相器や適切な測定方法が必要です。低圧用の測定器を高圧設備へ使用することは非常に危険です。
送電後にモーターなどの回転方向で確認する方法
設備によっては、復電後に負荷側の動作確認を行うことで相順を確認する方法もあります。特に三相モーターを使用している設備では、回転方向を見ることで相順が正しいか判断できます。
例えば、ポンプの場合は逆回転すると吐出量が低下する、空調設備の場合はファンの回転方向が逆になるなど、設備の動作から異常を判断できる場合があります。
ただし、この方法は設備を一時的に動作させる必要があり、逆回転によって機器を損傷する可能性もあります。そのため、事前にメーカー仕様や設備特性を確認してから行うことが重要です。
ケーブル更新時に相順間違いを防ぐための対策
高圧ケーブル更新工事では、撤去前の相順確認を必ず実施することが基本です。具体的には、ケーブル端末部のマーキング、相順測定、写真撮影、施工記録の保存などを行います。
実際の現場では、R相・S相・T相の表示をテープやタグで明確に残し、撤去後も分かるようにしておく方法がよく使われます。
また、既設設備が古い場合や過去の改修履歴が不明な場合は、図面だけを信用せず、現地での確認を優先することが重要です。
相順確認で注意すべき安全上のポイント
高圧設備の相順確認は、低圧回路の確認とは危険度が大きく異なります。高圧部分への接近や測定作業には感電やアークによる重大事故のリスクがあります。
そのため、停電操作、検電、接地、作業範囲の明確化など、電気設備の安全手順を守る必要があります。
特に「少し確認するだけ」という判断で高圧部へ近づくことは危険です。測定器の種類や使用方法も含め、必ず有資格者や管理責任者の判断で作業を行うことが大切です。
まとめ
キュービクルとPAS間の高圧ケーブル更新で既設ケーブルの相順を確認し忘れた場合でも、相順計などの測定器を使用して正相・逆相を確認する方法があります。
また、施工写真や記録、端子表示、設備の動作確認など複数の情報を組み合わせることで、安全に復旧することが可能です。
ただし、高圧設備の相順確認は重大事故につながる可能性がある作業です。今後の更新工事では、撤去前の相順確認と記録保存を徹底することが最も確実な対策になります。


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