積分の計算では、形が似ている公式を使いたくなることがあります。特に1/(1+x²)の積分がtan⁻¹xになることから、1/(x⁴+1)もtan⁻¹(x²)になるのではないかと考える人は少なくありません。
しかし、tan⁻¹(x²)を微分すると1/(x⁴+1)とは異なる結果になります。この記事では、なぜtan⁻¹(x²)が1/(x⁴+1)の原始関数にならないのか、微分を使って確認しながら解説します。
tan⁻¹xの微分公式を確認する
まず、逆三角関数の基本公式を確認します。tan⁻¹x、つまりarctan xの微分は次のようになります。
d/dx(tan⁻¹x)=1/(1+x²)
この公式から、1/(1+x²)の原始関数がtan⁻¹xになることが分かります。そのため、分母がx⁴+1になった場合も同じように考えたくなります。
しかし、重要なのは中身がxではなくx²になっている場合、微分すると合成関数の微分が必要になるという点です。
tan⁻¹(x²)を実際に微分してみる
tan⁻¹(x²)を微分する場合、合成関数の微分公式を使います。
y=tan⁻¹(x²)とすると、外側の関数の微分と内側の関数の微分を掛けます。
y’=1/(1+(x²)²)×2x
つまり、
y’=2x/(1+x⁴)
となります。
ここで分かるように、tan⁻¹(x²)を微分すると1/(1+x⁴)ではなく、2x/(1+x⁴)になります。
分子に2xが付いているため、求めたい関数1/(x⁴+1)の原始関数ではありません。
なぜ似ているのに間違えやすいのか
間違えやすい理由は、tan⁻¹xの微分公式の形と分母がよく似ているためです。
1/(1+x²)の積分はtan⁻¹xですが、1/(1+x⁴)では単純にxをx²に置き換えることはできません。
例えば、もしtan⁻¹(x²)が原始関数なら、その微分結果は必ず1/(1+x⁴)にならなければいけません。しかし実際には2x/(1+x⁴)になるため条件を満たしません。
1/(x⁴+1)の積分ではどのように考えるのか
1/(x⁴+1)を積分する場合は、単純な逆三角関数の公式では対応できません。分母を因数分解して部分分数分解を利用する方法が一般的です。
x⁴+1は実数の範囲では、
x⁴+1=(x²+√2x+1)(x²-√2x+1)
のように二次式へ分解できます。
その後、部分分数分解を行うことで、対数関数やtan⁻¹の形を含む原始関数を求めることができます。
つまり、1/(x⁴+1)の積分にもtan⁻¹は登場しますが、tan⁻¹(x²)という単純な形ではありません。
置換積分で考える場合の注意点
「x²があるからu=x²と置けばよい」と考える方法もあります。しかし、u=x²と置換するとdu=2x dxとなり、積分の中に2xが必要になります。
例えば、
∫2x/(1+x⁴)dx
であればu=x²による置換が有効で、tan⁻¹(x²)につながります。
しかし、
∫1/(1+x⁴)dx
ではdxの部分にxがないため、そのままでは置換できません。
まとめ
1/(x⁴+1)の原始関数がtan⁻¹(x²)にならない理由は、tan⁻¹(x²)を微分すると2x/(1+x⁴)になるからです。
逆三角関数の積分公式は、分母の形だけを見るのではなく、微分したときに元の関数になるかを確認することが大切です。
見た目が似ている式でも、合成関数の微分による係数が付く場合があります。積分では公式を当てはめるだけでなく、実際に微分して確かめる習慣をつけることで、間違いを防ぐことができます。

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