物理で登場する「内力」と「外力」は、物体の運動を考えるときに非常に重要な考え方です。特に運動量保存則や力学の問題では、どの力が内力でどの力が外力なのかを正しく判断する必要があります。
この記事では、内力と外力の違いを「物体系の内側・外側」という視点から整理し、具体例を使いながら分かりやすく解説します。
内力と外力は何を基準に分けるのか
内力と外力の違いは、「どの範囲を1つの物体系として考えるか」によって決まります。つまり、力そのものの種類ではなく、注目している系(物体系)の内側から働く力か、外側から働く力かで分類します。
物体系とは、運動や力を考えるために「この範囲を1つのまとまりとして扱う」と決めた対象のことです。例えば、2つの物体をまとめて考える場合、その2つの物体間に働く力は内力になります。
一方で、その物体系の外にある物体や環境から受ける力は外力になります。
内力とは物体系の内部で互いに及ぼし合う力
内力とは、同じ物体系に含まれる物体同士が互いに及ぼし合う力のことです。つまり、系の中に存在する物体間の作用・反作用の力が内力になります。
例えば、2つの台車AとBをひもでつないで引っ張る場合、AがBを引く力と、BがAを引く力は内力です。なぜなら、AとBを合わせて1つの物体系として考えているからです。
このとき、AがBに与える力だけを見ると外から受けたように感じますが、系全体で見ると内部のやり取りなので内力になります。
外力とは物体系の外から加わる力
外力とは、設定した物体系の外側にあるものから受ける力です。例えば、地球上に置いた物体を考える場合、地球から受ける重力は外力になります。
具体的には、机の上に置いた箱を考えると、箱を物体系とした場合、重力や机から受ける垂直抗力は外力です。これらは箱の外にある地球や机から加えられているためです。
ただし、地球と箱をまとめて1つの物体系にするなら、重力は内力として扱うこともできます。このように、何を系に含めるかによって分類が変わります。
内力と外力の違いを具体例で整理する
例えば、宇宙空間で2人の宇宙飛行士が互いに押し合う場面を考えます。宇宙飛行士2人だけを物体系とすると、互いに押す力は内力になります。
しかし、その宇宙飛行士がロケットから押されている場合、ロケットを物体系に含めていなければ、その力は外力になります。
このように、同じ力でも「どこまでを自分の考える系に含めるか」によって内力にも外力にもなり得ます。
運動量保存則では内力と外力の区別が重要
物理では、内力と外力を区別する場面として運動量保存則がよく登場します。運動量保存則は、外力の合計が0の場合、系全体の運動量が変化しないという考え方です。
例えば、2つの物体が衝突する問題では、衝突による力は互いに及ぼし合う内力です。そのため、衝突中の短時間では外力の影響が小さい場合、2物体全体の運動量は保存されます。
一方で、外から押したり引いたりする力が加わっている場合は、系の運動量は変化するため、単純に運動量保存則を使うことはできません。
内力と外力を判断するときのポイント
内力か外力かを判断するときは、まず「何を物体系として考えているか」を確認します。力の向きや大きさだけを見るのではなく、力を受ける対象が系の内側なのか外側なのかを見ることが大切です。
例えば、2つの物体をまとめて考えるなら、その2物体間の力は内力になります。しかし、片方の物体だけを考えるなら、もう片方から受ける力は外力になります。
物理の問題では、最初に物体系を決める習慣をつけることで、内力と外力の判断ミスを減らすことができます。
まとめ
内力とは、物体系の内部にある物体同士が互いに及ぼし合う力であり、外力とは、物体系の外側から加わる力です。
重要なのは、内力と外力は力の種類によって決まるのではなく、「どの範囲を1つの系として考えるか」によって決まるという点です。
問題を解くときは、まず物体系を決め、その中で働く力なのか外から加わる力なのかを整理すると、力学の問題を正しく理解できるようになります。


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