胃潰瘍や十二指腸潰瘍では、潰瘍部分から出血することがあります。吐血や黒い便などの症状が出ることもあり、放置すると貧血や血圧低下につながる場合があります。一方で、「出血した場合に敗血症になるのではないか」と心配になる方も少なくありません。
この記事では、胃・十二指腸潰瘍による出血と敗血症の関係、どのような場合に感染症のリスクが高まるのか、出血時に注意すべき症状について医学的な視点からわかりやすく解説します。
胃・十二指腸潰瘍で起こる出血とは
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸などによって粘膜が傷つき、組織が深くえぐれることで発生します。潰瘍が進行すると、周囲の血管が傷ついて出血することがあります。
出血の量や場所によって症状は異なります。少量の出血では自覚症状が少ない場合もありますが、大量に出血すると吐血、血を含んだ黒い便(タール便)、めまい、動悸、冷や汗などが現れることがあります。
例えば、胃潰瘍から少しずつ出血している場合は、慢性的な貧血として発見されることがあります。一方で、大きな血管が傷ついた場合は短時間で大量出血となり、緊急処置が必要になることがあります。
胃潰瘍の出血と敗血症は直接的には異なる病態
敗血症とは、細菌などの病原体による感染が原因で、体全体に炎症反応が起こり、臓器の機能に影響を及ぼす重篤な状態です。
胃・十二指腸潰瘍から出血しただけで、通常は敗血症になるわけではありません。出血そのものは血管が傷ついた状態であり、感染症とは原因が異なります。
例えば、胃潰瘍から血が出た場合、多くの場合に問題となるのは貧血、血圧低下、ショック状態などであり、敗血症とは別のリスクとして考えられます。
ただし潰瘍が重症化すると感染のリスクが発生することがある
胃や十二指腸の潰瘍が深く進行すると、まれに胃や腸の壁に穴が開く「穿孔(せんこう)」を起こすことがあります。
消化管に穴が開くと、胃液や腸内容物が腹腔内に漏れ、腹膜炎を起こす可能性があります。このような感染が広がった場合には、敗血症につながる危険があります。
つまり、胃・十二指腸潰瘍で注意すべきなのは「出血そのものが敗血症を起こす」というよりも、潰瘍の進行による穿孔や感染症が発生した場合に敗血症のリスクが生じるという点です。
胃・十二指腸潰瘍で緊急受診が必要な症状
胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある方で、以下のような症状がある場合は早めに医療機関を受診することが重要です。
- 血を吐いた、またはコーヒーかすのような吐物が出た
- 黒くてタール状の便が出る
- 強い腹痛が突然起こった
- 冷や汗、めまい、意識が遠のく感じがある
- 発熱や強いだるさが続く
特に、強い腹痛と発熱が同時にある場合や、意識状態が悪化している場合は、感染や重症化の可能性も考えて迅速な対応が必要です。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の出血を防ぐために大切なこと
胃・十二指腸潰瘍の原因には、ピロリ菌感染、鎮痛薬(NSAIDs)の使用、喫煙、ストレスなど複数の要因があります。原因を調べ、適切な治療を行うことで再発や出血のリスクを下げることができます。
例えば、痛み止めを長期間使用している方では、胃粘膜を守る薬を併用したり、薬の種類を見直したりすることで潰瘍予防につながる場合があります。
また、ピロリ菌が確認された場合は除菌治療を行うことで、潰瘍の再発リスクを減らすことが期待できます。
まとめ:胃・十二指腸潰瘍の出血と敗血症は原因を分けて考えることが大切
胃・十二指腸潰瘍から出血した場合、一般的には出血による貧血や血圧低下が主な問題となり、出血だけで敗血症になるケースは通常ありません。
しかし、潰瘍が進行して穿孔を起こしたり、感染が広がったりした場合には、腹膜炎や敗血症につながる可能性があります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍による出血は放置せず、吐血や黒い便、強い腹痛などの症状がある場合は早めに医療機関へ相談することが大切です。


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