ブラシレスDCモータ(BLDC)をJMAGなどの電磁界解析ソフトで自作する場合、巻線のUVW相配置やインバータのスイッチング角度はモータ性能を左右する重要な設計要素です。特に2極3スロットのような単純な構成以外では、極数・スロット数・巻線方式によって最適な配置が変化します。この記事では、BLDCモータ設計で必要となるUVW相の考え方や通電角、スイッチングタイミングの決定方法について詳しく解説します。
BLDCモータにおけるUVW相とは何か
ブラシレスDCモータでは、固定子側の三相巻線をU相・V相・W相として配置し、インバータによって順番に電流を流すことで回転磁界を発生させます。
三相交流モータと同じように、各相の電流位相は120度ずつずれています。この120度の位相差によって回転磁界が作られ、永久磁石を持つロータが追従して回転します。
そのためUVW相の配置は単純に3つのコイルを並べるだけではなく、磁極位置との関係で決定する必要があります。
2極3スロット以外のUVW相配置を決める基本的な考え方
BLDCモータの相配置を決める際は、まずスロット数と極数の組み合わせを確認します。代表的な組み合わせとして、12スロット8極、9スロット6極、18スロット16極などがあります。
巻線配置は「電気角」と「機械角」を基準に考えます。機械角とはロータやステータの実際の角度であり、電気角は磁極数によって変換された角度です。
電気角は以下の式で求められます。
電気角=機械角×極対数
例えば8極ロータの場合、極対数は4なので、機械角90度は電気角360度になります。この関係を理解すると、UVW相の配置位置を決めやすくなります。
集中巻BLDCの一般的な相配置例
集中巻BLDCでは、隣接するスロットに同じ相を配置する場合があります。例えば12スロット9極などでは、U相・V相・W相を一定の周期で繰り返し配置します。
代表的な配置例としては、以下のようなパターンがあります。
| スロット番号 | 相配置例 |
|---|---|
| 1 | U+ |
| 2 | W- |
| 3 | V+ |
| 4 | U- |
| 5 | W+ |
| 6 | V- |
ただし、この配置は一例であり、極数や巻線係数によって最適値は変化します。Jmagでは巻線設定後に誘起電圧やトルク波形を確認しながら調整することが重要です。
BLDCのスイッチング角度(通電角)の考え方
BLDCモータでは一般的に120度通電方式または180度通電方式が使われます。
120度通電方式では、三相のうち2相だけに電流を流し、残り1相は開放状態にします。一般的な6ステップ駆動では、60度ごとに通電パターンを切り替えます。
例えば、以下のような順番になります。
| 電気角 | 通電状態 |
|---|---|
| 0〜60度 | U+ V- |
| 60〜120度 | U+ W- |
| 120〜180度 | V+ W- |
| 180〜240度 | V+ U- |
| 240〜300度 | W+ U- |
| 300〜360度 | W+ V- |
この切り替えタイミングはロータ磁極位置と一致させる必要があります。ずれるとトルクリップルが増えたり、逆回転や効率低下の原因になります。
JmagでBLDCモデルを作成するときの確認ポイント
Jmagで解析モデルを作る場合、最初にステータスロット、ロータ極数、巻線方式を正しく設定します。その後、巻線分布から磁束密度や誘起電圧を確認します。
特に重要なのは無負荷誘起電圧(逆起電力)の波形です。理想的なBLDCでは、台形波に近い逆起電力が得られると6ステップ駆動との相性が良くなります。
また、UVW相の順番を逆にすると回転方向が反転します。解析結果でトルクが負になる場合は、相順や通電タイミングを確認する必要があります。
極数とスロット数によって最適な設計は変わる
BLDCモータには、すべての極数とスロット数の組み合わせで同じ設計方法が使えるわけではありません。
例えば、2極3スロットは非常に単純な構造ですが、多極多スロットになると短節巻や分布巻などの影響が大きくなります。
そのため実際の設計では、以下の流れで検討すると効率的です。
- 極数とスロット数を決定する
- 電気角と機械角の関係を計算する
- UVW相の巻線配置を決める
- 逆起電力波形を確認する
- 通電角とスイッチングタイミングを調整する
まとめ|BLDCのUVW配置とスイッチング角度は磁極との関係で決める
ブラシレスDCモータのUVW相配置やスイッチング角度は、単純な固定ルールではなく、極数・スロット数・巻線方式によって決まります。
設計時には電気角と機械角の関係を理解し、逆起電力波形やトルク波形を確認しながら最適化することが重要です。
Jmagを利用する場合も、既存モータの配置をそのままコピーするのではなく、解析結果を基に相配置や通電タイミングを調整することで、効率の良いBLDC設計につながります。


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